Crimson in the Darkness -出遭-W-7
「違うっ!! そんなコトしてない!!」
『違う? そうか、一時的に治癒力を上げただけか。堕とさなかったと?』
「ったりまえだ! おれはそんなことしない!」
必死になって頭を振るリーはどこか変だ。
そんなリーを見ながらヴァンパイアは口端を吊り上げて、牙を見せながら嗤った。
『そうか? 人間を治癒するなど愚かにもほどがある。お前のように吸血することを拒絶して力を使うなど、自殺行為だ。そうまでして死にたいんなら殺してやろう? ずっとそう言ってきただろう?』
空で止まっていたヴァンパイアの手が微動し、鋭い爪がリーの首を撫でる。
「……ぃ、ッ……」
唐突に与えられた痛みにリーは表情を歪めた。細い首筋にうっすらと赤い筋が浮かぶ。それを見た瞬間、ゾクッとする様な感覚が背筋を走り抜けた。