Crimson in the Darkness -出遭-V-6
「………………ダメなんだ……」
「アイツがイヤなら帰らせる。だから、お前も家に帰れ」
「…………帰、らない」
「は?」
それこそ、ワケが解からん。
「……一人で、帰る…………だから、先、帰って……」
下を向いたまま首を横に振り続ける。お前は何考えてるんだ?
「ンなワケにいくか! お前、自分の状況解かってンのか?」
「………………うん」
絶対、解かってない。
「じゃあ、帰るぞ。月が昇りきる前に」
無理やりリーの腕を掴んで、引っ張って家へ戻ろうとすると、もうそこはいつものような安穏とした空気などなく、違うモノが漂っていた。
そして、黒い影が一つ。
『もう―――遅い』
ほんの十メートルほど先に立っているのはあの赤い目の金髪のヴァンパイア。…………サイテーの展開だな。