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団地妻の告白
【熟女/人妻 官能小説】

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302号〜立花由佳-2

「あ、あの、これ……お、お願いします」

いつものようにたどたどしい声で言う男の子。
私の前へ商品を差し出し、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせながら言う男の子。
そんな男の子のことを、そのうち私は『可愛い』と強く思うようになりました。
でもそれは、我が子を思うような気持ちと同じ感情でしかありませんでした。
自分で言うのも何ですが、私は人一倍母性が強いほうだと思います。
わずかな会話の中で知り得た、男の子が『一人暮らし』だという情報。それを知ったときから、ちゃんと栄養は取れているのだろうか、お米の炊き方とか知っているんだろうか、などと、心の中で余計な世話を焼くようになっていったんです。

この日、午後4時までの勤務を終えて自宅へ帰ろうとする際、店の自転車置き場のところで例の男の子の姿を見かけました。

「あら、あの子……もう一時間も前に店を出たはずなのに……」

杉田さんの言葉もあり、無意識のうちに湧き上がってくる自惚れ心。

あの子、もしかして私の事を待っていたんじゃ……杉田さんの言葉をすっかり真に受けてしまっていることに気付かず、私の足はトコトコと男の子のほうへ向かっていました。
これが、後に私の平穏な日々を揺るがしてしまう大きなキッカケとなったのです。


「こんにちは」

「あっ、こ、こ、こんにちは」

声を掛けた私に、素早く顔を俯かせて緊張しきった様子を見せる男の子。
その態度に私の母性心はひどく疼きました。

「いつもありがとうございます。もしかして、さっき買ったオニギリと唐揚が今夜の夕飯?」

私が聞くと、男の子は苦笑いを浮かべて小さくコクッと頷きました。

「自分でご飯を炊けばオニギリの分、お野菜を買えるのに。炊飯器とか持ってないの?」

「い、いえ、炊飯器はあるんですが……」

「あら? だったら炊けばいいのに?」

「そ、それが、い、いつも失敗しちゃいまして……」

小声で言いながら、もう火がついたように顔を真っ赤にさせる男の子。
私は自身の胸がギュウッと締め付けられるような感覚を覚えました。そして、次の瞬間、私は思いもよらぬ言葉を口にしていました。

「ねえ、よかったらさ、ご飯の炊き方を教えてあげよっか?」

「えっ!? あ、あの……た、立花さんがですか?」

「あら、名前を覚えてくれたんだ? 嬉しい、ありがと」

「あ、いやあ……す、すみません」

紅潮した顔が照れたように緩み、つぶらな瞳の真ん中にある黒目がオドオドしたように泳いでいます。
私は男の子の名前を聞いてから、少し浮かれた感じで会話を続けていました。

「じゃあ、来週の水曜日の午前10時。○×公園で待ち合わせね」

なぜか積極的になってしまった私。淡々と『レクチャーの日』を取り決め、男の子、いや、山田くんが私の都合に合わせるといった形で話はまとまりました。

その日の夜、母親業が一段落してゆっくりと湯船に浸かっているとき、私はぼんやりと山田くんの事を考えました。


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