完・嘆息の時-9
「なんて可愛い声で啼くんだ……そんな声を出されると、もっと啼かせたくなる……」
神山が色情にまみれた眼でチラッと愛璃を見やり、すぐにまた胸元へと顔を寄せる。
舌を突き伸ばし、乳首を中心にクルクルと乳輪の上を舐め滑らせる。
その舌先の動きは実に厭らしく、ときおり乳首の側面を撫でてはピンッと快美に弾き、そんなふうに弄んだかと思うと、今度はいきなり口に含んでチュウッと吸い上げるのだ。
「ああっ……」
愛璃は、無意識のうちにグウッと胸をせり出していた。
「乳首がすごく硬く、ビンビンに起ってるよ……」
囁くように言いながら、乳首を咥えている神山の口がコリッと優しく歯を立てる。
片方の乳房を優しく丁寧に揉みしだきながら、もう片方の乳房はギュウッときつく搾りあげながら、張り出した先端の突起物を入念に舌と唇で愛撫していく。
（ああっ……ど、どうして……わたし……こ、これだけでイッちゃいそう……）
絶頂に達するまではいかずとも、悦楽の波はそれに近いところで渦巻いていた。
罪悪感を軸とした淫らな情欲、その異質な感情が、より肉体を鋭敏なものにしているのかもしれない。
疼きたつ秘芯は次々に愛蜜を湧かせ、もうそれが淫部内に留まらずお尻のほうにまで垂れ流れていることは、愛璃自身もハッキリと感じていた。
神山が、裸体の至る箇所に舌を這わせはじめた。
唾液に濡れた舌が、そのヌラつきを枯らすことなく唇から耳朶、そこから首筋を這ってうなじや鎖骨あたりを舐めまわし、次に脇や脇腹、乳椀の外側から背中といったところまで範囲を広げていく。
「あああぁ……す、すごい……あ……ああ……」
遅速ながら圧倒的な愉悦を繰り出してくる神山の舌技。
愛璃は完全に女の声で呻いた。
「あっ……ま、待って……そ、そこは、すごく濡れてるから……恥ずかしい」
「恥ずかしがることはないさ。こんなに濡れるなんて、それって凄く感じてくれてるってことだろ？ それに、俺は愛璃の厭らしい蜜を味わってみたいんだ」
そう言い、下半身へと移動した神山が、躊躇い閉じている美脚を強引に割り開いていく。
「ゆ、夢にまで見た愛璃のオ○ンコ……俺は、お前に陰毛が生えてたってだけで凄く昂奮してるよ……卑猥だ……卑猥だなぁ、このしっとりと濡れた肉ビラ……内側の濃いピンク色の肉壁もネットリとしてキラキラ光ってる……ああ、なんて厭らしい匂いだ……お前のこれを想像し、これまでにどれだけ扱いてきたことか……綺麗だよ、愛璃……とても子供を産んだ身体とは思えない……溢れ出ている蜜も、君の清潔さをより際立たせているみたいだ」
自身の淫部を赤裸々に実況され、たまらず両手で貌を隠す愛璃。
ただでさえ見られるのが恥ずかしい部分。それなのに、そこは今や自分でも想像できぬほど濡れているのだ。そんな所をマジマジと見られ、恥ずかしくないわけがない。
この時ばかりは羞恥心がすべての感情を凌駕した。
「……っや……」
そっと押し当てられてくる舌。
その舌が、淫裂を下から上へと舐めあげてくる。
ピチャ、ピチャ―――
床にこぼしたミルクをせっせと舐めとっている猫……下半身から聞こえてくる淫靡な音は、そのようなイビツな妄想を愛璃に湧かせた。