完・嘆息の時-16
ニチ、ヌチ、ニチ―――
アヌス特有の異質な音が小さく聞こえ、神山が変質的な表情を浮かべながらグッと中指の先端を蕾のなかへ埋め込む。
排泄器官に侵入してくる異物の存在に、愛璃は思わず腰をよじった。
だが神山のほうに怯みはなく、なおもヌチヌチと指を埋め込んでいく。
「んんっ……ああ……」
喉の奥から深い息を漏らす愛璃。
身体が自然に硬直していく。
精液というローションも手伝い、第二関節まで埋まった中指は愛璃の肉体にさほど苦痛を与えることは無かった。
「ゆっくりと動かしてみるよ……」
色欲に満ちた眼をアヌスに向け、神山が静かに指をストロークさせる。
「あっ……ん……んん……」
直腸のなかで押したり引いたりを繰り返す指。
その感触は不快ながらもそれだけじゃなかった。かと言って甘美と言うには物足りない。
何とも言いようのない異様な感覚だった。
しかし、その指が何度も直腸を往復するうち、少しずつではあるが粘膜に不気味ながらも心地よい感覚が湧き立ってきた。
「あ、愛璃、お尻でも感じてるんだね」
「そ、そんなこと……」
「じゃあ、これはどういうこと?」
神山がヌポッとお尻から指を引き抜き、手のひらを淫唇に押し当ててからグリグリと激しく揉みまわす。
指を縦裂のなかに挿入するわけじゃなく、外側のふくらみ、つまり大陰唇を手のひらでこってりと揉みわした。
クチャ、ヌチャ、チャ、クチャ―――
室内に響き渡っていく淫靡な音。
愛液を溢れさせていた淫唇は、こねる手のひらによって羞ずかしいほど大きな音を立てた。
「あっ……ああ……か、神山くん……」
「愛璃……俺は心から後悔してる。君という素晴らしい女性を逃がしてしまったことを。でももう今さらどうにも出来はしない。それは分かってる。でも、少しだけ、少しだけ俺の苦痛を癒してくれないか」
「う、うん、分かった……神山くんの苦痛を、私にぶつけて」
その言葉を聞き、神山はグイッと愛璃の腰を持ち上げた。
そして、四つん這いになった愛璃を後ろから乱暴に犯した。
「アッ、アアッ……ンン……ンアッ……」
艶のあるヒップを高々と突き上げ、自らも淫欲を貪るかのように腰を打ちつけていく。
神山のほうも豊満な尻肉をムンズと両手で掴み、感情的に力強く肉棒を叩き込んだ。
まるで獣の交尾のように激しく肉と肉がぶつかり合っている。
結合部分からは淫らな粘液がダラダラと垂れ落ち、ときおり神山がそれを指で掬ってはアヌスにまぶしつけていく。
神山が次第にストロークを弱め、天然のローションにまみれた蕾へググッと指を突きこむ。
神山が何を望んでいるのか―――愛璃には分かっていた。
愛璃にとって未経験の場所をあからさまに欲している神山。
そこは決して性行為などに使うべきではない。
そんなことは百も承知だった。