完・嘆息の時-12
「ああ……す、すごく……すごく上手いな」
「んふ……んっ……んん……」
チュパチュパとリズミカルに亀頭をしゃぶり、それを吐き出してはカリの裏や筋に舌を這わせていく。
その舌はときおり根のほうまで下り、たっぷりと唾液をまぶしながら睾丸の膨らみにも丁寧な愛撫を施してきた。
(ああ、わたし……神山くんの前でどんどん厭らしい女になっていく……)
その思い通り、愛璃の行為は神山からみても明らかに卑猥さを増していた。
調子に乗った神山が『もうちょい下も……』と催促すると、予想もしていなかった箇所にまで舌を這わせてくる。
驚きつつも両足を持ってガバッと開いてみせると、案の定、愛璃は窮屈そうにしながらも尻のあいだへ顔を寄せ、懸命に舌を突き伸ばしては毛むくじゃらの肛門に愛撫をくれた。
「す、すごく気持ちいいよ……それにしても、君がこんなにスケベだったなんて……ああ……最高だ、最高に気持ちいい」
予想外の展開に、すべての殻を剥がし狂喜していく神山。
愛璃自身、いくら一度きりのセックスを了承したからといって、まさか自分がこれほど積極的になるとは思ってもみない事だった。
実らなかった恋の、突然の成就が自分を狂わせたのか―――。
もしくは背徳の行為がゆえ、その罪悪感が異様な情欲へと繋がってしまったのか―――。
いずれにせよ、何か大きな欲の塊に翻弄されてしまったことには違いなかった。また、受ける側から奉仕する側になったとたん、心に湧き上がっている淫欲がより生々しいものに変わり、それが舌や粘膜の性感をより鋭くさせているのも確かだった。
「あ、愛璃、ちょっと待ってくれ! このままだとイッちゃいそうだ。イクときは君の中で君と一緒にイキたい」
神山が、込み上げてくる射精感を必死で堪えながら身体を起こし、愛璃を手前にグイッと引き上げた。
そしてすぐさま覆いかぶさり、唇を乱暴に貪りながら美脚のあいだに腰を割り込ませていった。
「入れるよ、愛璃……」
「ああ……わたし……わたし……」
色んな感情が湧き上がる中、濡れ立つ淫部の亀裂をググッと押し開いてくる肉棒の切っ先。
怖いくらいにまで期待感を抱いていた神山のペ○ス……その憤りに触れ、咥え、濃厚なエキスを感じてしまった肉体は、さらに奥深い歓喜を求めて泉を涸らすことなくひたすら湧きたたせ続けている。
しかし、いざ挿入となるや、さすがに夫への罪悪感が首をもたげてきた。
「か、神山くん……あの……あ、ああっ」
「おお、入ってく……愛璃の中に……俺のが入ってく……」
愛璃の言葉を無視し、神山が感慨深い表情でヌヌヌッと強靭な肉の塊を押し込んでいく。
「ああ……う……アッ……アアッ」
この六年間、夫以外の肉塊を受け入れたことのない純真な秘肉。
その秘肉は、いま別の異物の侵入に激しく慄えていた。
それは恐怖や嫌悪ではなかった。
夫のサイズに慣れきっていた秘壺が、ひとまわり大きい神山のモノにありったけの悦びを示しているのだ。
使いこなれたモノとは違い、初めて使う新鮮なモノ……それもこの感覚に拍車をかけているのだろう。
唇を戦慄かせ、愛璃がグウッと細い顎を突き上げた。