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非常シキなカンケー
【幼馴染 恋愛小説】

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非常シキなカンケー-4

―――*―――
 父は単身赴任で、母は出張で泊まりになるとか言ってた。
 祖父母とは別居しているから、他に家族は居ない。
 今日も夕飯の作っては後片付けをする。
 台所の蛍光灯がぼんやりと白い光を放って私を照らす。
 居間ではつけっぱなしのテレビが賑やかに笑っている。
 もともと見たいテレビは無いけど惰性でつけてしまう。
 高校受験のときからずっとそうだ。
 二年近く。
 違う。
 もっと長い。
 多分、中学入りたてのころからだと思う。
 かなり長い。
 けどもう寂しくない。
 今日も二人分のお弁当箱を洗う。
 匂いが残りやすいから入念に洗い直さないといけない。とくにもう一つのほうは結構いい加減になってるから注意が必要。
 さて、明日はどうしよう。
 とりあえず卵焼き。
 明日からは甘くしないようにする。
 そういったら少し寂しそうだった。
 ――胡桃の卵焼きは絶妙なんだけどな……。
「ふぅ……っと」
 洗物を終えた私は一息つくために冷蔵庫を漁る。
 最近のお気に入りはノンアルコールビール。
 目の前でビールを飲まれるのを見て私も飲みたくなったけど、「ダメ」と言われた。
 ならごはん作らないと脅したけど、それだけは譲ってくれなかった。
 ――たかがビールぐらいいいじゃん。皆飲んでるよ。
 ――ダメだよ。君はまだ二十になってないもの。
 どうもしっくり来ない。
 常識で考えればアルコールは二十歳になってからなんて誰も守ってないし、守る人は多分もともと飲まない人だと思うの。
 けど、私には飲ませてくれない。
 それなのに……。
「お風呂あいたよ……」
 バスタオルを腰に巻いてやってくる彼は人の家の冷蔵庫だっていうのに遠慮も無しにビールを漁る。
 両親、といってもお母さんがいないときは来てもらっている。
 違うか。
 私がご飯作って上げないと、こいつはいつもカップラーメンで済ませてしまうから、こうして面倒を見ないといけないんだ。
「んもう、ちょっとそんな格好でうろつかないでよ。こっちは嫁入り前なんだから」
「気にするなよ。いまさら……」
 彼は発泡酒を取り出すとごくごくと煽り、顔をクシャクシャにしている。
 私はノンアルコールしか飲んだことがないけど、ああはならない。
 やっぱりアルコールが入っているとそうなのかしら?
「あ、ちょっと! それ!」
 上半身裸の彼に気を取られていたけど、よく見たら彼が今腰に巻いているのは私のバスタオルだ。いや、別にそんな特別でも高いってわけじゃないんだけど、なんとなく私のって決めているものなんだ。
「もう、変なとこにまかないでよ!」
「ちょ、ま、いや、待ってよ胡桃!」
 いやおうなしにバスタオルを奪おうとする私と、それに必死で抵抗しながら発泡酒を守る彼。当然勝負は見えているわけで、彼はバスタオルを剥ぎ取られるわけよ。
「まったく。男なんだからバスタオルなんか使わないでいいでしょ。タオルで十分です!」
 私がタオルを畳もうとしていたら、彼は発泡酒片手にその場に蹲っていた。
 何をしているのかしらとよくよく見ると、彼はパンツもはいていなかったらしくって……、
「んもう、やだぁ……、この変態……」
 手で隠そうとしてはくれてるけど、なんか、ちらっと見えちゃった。
「だって胡桃が……」
 彼は気まずそうに言うけど、絶対にバスタオルは渡さないの。
 もう少し苛めてやるんだ。
 この非常識な男を!


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