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非常シキなカンケー
【幼馴染 恋愛小説】

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非常シキなカンケー-5

―――*―――
 真向かいの家に引っ越した。
 子供の頃、三歳ぐらいの頃だ。
 引っ込み思案な私に初めてできた友達が彼だった。
 最初はそれ位のこと。
 とても常識的な関係だと思う。
 私が小学生になった頃も彼と一緒に遊んでたし、夕飯時、母が遅くなるときなんかもお邪魔させてもらった。
 そういうのが普通だったし、このまま大人になっていっても仲の良い関係でいられると思ってた。
 けど、そういうのが変わったのが、彼が中学生になった頃。
 学校は違うわけだけど、通学路は一緒。
 仲良くお手て繋いでってわけじゃないけど、一緒に学校に通っていた。
 少しずつすれ違うようになったのは、彼が学校で私のことを揶揄されたから。
 ――秋吉は小学生の彼女が居るロリコンだ。
 そういわれたんだって。
 失礼しちゃうと言いたいけれど、世間的にはそうなのかしら?
 でも、小学生どうしのカップルはショタコンとロリコンなのかしら……?
 違う違う、そうじゃない。
 もちろん、その頃には私にだって友達がいた。
 同じクラスに女子男子問わずいた。
 だからさびしいっていう感じとか、一人ぼっちっていう感じも薄かった。
 けど、彼という友達を失う理由にはならない。
 だからかなり戸惑ったし、夜に訳もなく悲しくなって泣いたこともある。
 幼かったといえばそれまでだと思う。
 私もだんだんそういう性差を理解するようになって男の友達ともあんまり遊ばなくなったし、それに応じてだんだんと年の離れた友達とは疎遠になった。
 そう、仲の良いお向かいさんっていう感じの、そんな関係。
 というのは表面的なもの。
 私達はこっそり時間を作っては二人だけで会っていた。
 別に誰かに咎められるってわけじゃないんだけど、そういう隠れて何かするっていうのがスリルがあって楽しかったし、恋愛に憧れる年……今もそうなんだろうけど、そういう頃だし、私は彼との密会を楽しんでいた。
 常に会えない関係。
 ――非常シキな関係だね。
 そう言うと、彼は「年の差」なんて関係ないと言ったのがおかしかった。
 私が言いたかったのは、常に会えず、よく非常口を使って抜け出したりするから非常「式」だと言いたかったのだ。
 笑う私と不機嫌になる彼。
 あんまり私が笑うものだから、ついには強引にふさがれちゃった。
 まったく、いつ緑の人が駆け込んでくるかわからないっていうのにね……。
 けど、彼が遠くの大学に行ってからは非常式の関係すら維持できず、本当の意味で疎遠になってしまったんだ。
 電話をしようにもバイトと講義が忙しいからって全然繋がらないし、私も携帯は持たされていなかった。それに受験を控える頃になっていたしで、このまま終わりでいいと思った。
 すごく寂しいけど、初恋は実らないっていう世間の常識に従うべきって感じでさ。
 けど、彼は違ったみたい。
 ――教育実習生の竹川秋吉です。ここの卒業生で、皆さんの先輩にあたりますが、今は皆さんからしっかり教育について学ばせてもらうつもりです!
 教室に入ってきた彼は疲れた感じのスーツとぼさぼさの髪。黒縁のでかい眼鏡でオシャレさの欠片もない。なんかこう、いかにももてないっていう感じの人だった。


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