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非常シキなカンケー
【幼馴染 恋愛小説】

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非常シキなカンケー-3

―――*―――
 本日の恵子を慰める会は、ファーストフード店のボックスの席に居座っての開催。
 参加してくれたのは中学の頃からの友達の恵理と、同じ部活の美紀。他は用事があるからパスされた。
 回を数えるごとにただのだべり場になりつつあるわけだけど、もともと本気の恋愛をしてない恵子なのだから、慰める必要すらない。むしろ、たまの息抜きと皆理解している。
「で? 今度は誰に失恋したの?」
 恵理はいつも人のポテトをつまみ食いするから困る。
「んとね、竹川先生」
「ふーん」
 聞いておいて食べるのに夢中。というか、彼女の彼に対する認識からするとそういうものなのかもしれない。
「へー、まぁ結構かっこいいからね」
「え?」
 アイスティーを飲んでいた美紀はどういう理屈か恵子と同じ感想を持っていたらしい。
「ちょっと、何言ってるの? そんなにアイツカッコイイ?」
 度肝を抜かれたってほどじゃないけど、どうも納得の行かない私は多分ムキになって聞き返していたと思う。
 だって、たしかに外面はいいけど、でもそれはカンニングの賜物なのよ。全部男性ファッション誌の受け売りだし、香水だって馬鹿の一つ覚えのワンパターンだし。
「だって、授業中とかかなりきびきびして、たまに怖いこともあるけど、すごいと思うよ」
 そういえば彼女は理系クラスだった。となると、他のクラスだと授業は真面目にやっているのか。にしても、カッコイイといわせるほどとは。
「そうなんだ。一度見てみたいな……」
「やめたほうがいいよ。だってかなり着いていくの大変だし」
 苦い顔をする美紀。彼女は結構勉強ができるほうだから、その子が大変というのならおそらく恵子じゃおいてけぼりだろうなあ。
「ふーん、あんまし興味ないな……」
 また人のポテトを食べながら恵理。とりあえず自分のを食べろといいたい。
「っていうか、アイツ女居るでしょ」
「え?」
 長いのを一本。また三秒たってしまったから食べられない。
「そーなのよ。だから失恋したのよ」
 ようやく会の目的を思い出した恵子は味方? の手を握ってる。その様子は失恋しているとは思えないほどの良い笑顔なのがわらっちゃう。
「へー、わかるんだ。彼女居るって」
「ん? ああ、だってそうでしょ。アイツの大学調べたけど、男女比十対一だもん。なのに全然女子に普通だし、セクハラっぽいこともない。女いなかったらああはならないっしょ」
 そして今度は人のジュースをごくごくと……。けど、咎める気持ちよりも感心する気持ちのほうが強いと思う。
 恵理って結構人のこと見てるんだ。っていうか、普通調べるかな? んでも、興味を持つのが普通かな?
「そうなの? そんなのってあるのかな?」
「うん」
 即答する彼女は紙コップの蓋を外して丁寧に氷をがりがりと……。
 意地汚いっていうか、それ私の……。
「そんじゃあたし帰るわ」
 ひとしきり人のセットメニューを平らげると、恵理は席を立つ。
 しかも、自分のモノには手を着けず、全て紙袋に入れている。
 なんかおかしいと思うけど、今はこのまま穏便に帰ってもらったほうがいいかもしんない。
「というわけでさらば」
「はいはい、ばさらばさらっと。そんじゃ、良い恋探せよ、お二人さん!」
 言いたい放題、もとい食いたい放題した恵理は風のように人で込み合う店内をすり抜け、すぐに見えなくなってしまった。
「まったく、何が良い恋探せよよ……、人の気も知らないで……」
 そういってアップルパイを啄ばむ恵子。この子はどちらかというと失恋対象を探すことのほうが必死だと思うから、あんまりアドバイスになってないと思う。
「えと……」
 じゅーっと音を立ててアイスティー啜っていた美紀が何かに思い当たったらしく、
「私と恵子?」
 余計なことを……。


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