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長い夜
【大人 恋愛小説】

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長い夜 (五)-1

<熱い鑑賞>


真人からのメールは、毎日欠かされた事がなかった。
「おはよう」から「おやすみ」まで
学校から店からも一日に幾度と届く。
遼子の返信は 多くて2.3回
受信は嬉しいのだが、全てに毎回返信することは不可能だった。
当然、真人も期待はしていない。

それでも毎日のメール攻撃にも惑溺性があると
遼子は不安を感じることもあった。
メールがあって当然の日々が続くと、来ない時に不安になるのではないかと
いつしかメール中毒になるのではないのかと。

だけど、若い真人にもピークがあるだろう。
遼子とのメールに一段落して、ペースダウンするかもしれない。
意外と熱しやすく冷めやすいかも・・・。
遼子はいろいろ自分に言い聞かせて真人のメールに振り回されないように
自分がしっかりしてればいいことだ。と思うことにした。
そして、自分のペースは乱さない。
真人は学生であり、自分は社会人であることも肝に銘じた。

ほぼ一月ほどの間は、遼子の仕事も落ち着いていて
週末には定期的に休みが取れた。
仕事帰りに「ふるさと」へ立ち寄る回数も普段と変化ない。
店では大将と世間話をし、少し飲んで食事を済ませた。
真人の早番とタイミングが合えば、真人が遼子の帰りを待ち伏せて
家まで送りがてら話をしたりした。
休日は相変わらずダラダラしたが、真人もバイト終わりが遅いこともあって
夕方から待ち合わせて映画に行ったりもした。
普通のデートのような心地よい幸せ感を遼子も楽しんでいた。

5月に入ると夏のイベントに向けて、遼子は忙しくなる。
秋のウエディングフェアーのための夏イベントが六月にある。
その下準備である。
冬に春ウエディングのイベントで振り回されるように半期に一度の過酷な日々が待っていた。

そろそろ追い込みのイベント一週間前
何とか「ふるさと」の閉店までに立ち寄れる日があった。
そういえば、今朝は真人からメールが一通来ただけだった。
忙しくて気に留めていなかったが、遼子は帰る間際にオフィスから真人に朝の返信した。

「今日は何とか店に寄れそうです。真人はいる?」

返信が返ってこない。

オフィスを出て、電車に乗り何度かメールを確認したけど返信なし。
これは今までのことを考えると珍しいことだった。
手が離せない時も、30分以内には確実に返事があったのに・・・。
とりあえず「ふるさと」に寄ろう、忙しくてそれどころではないのかもしれない。
いや、携帯を忘れてきたとか・・・?
遼子は「ふるさと」へと急いだ。

「らっしゃーい!」
暖簾をくぐって戸を開けると
威勢のいい声がかかる。

「こんばんは」
遼子はいつものように、カウンターの空き席に腰をかけた。
それほど混んでる様子もない。


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