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長い夜
【大人 恋愛小説】

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長い夜 (五)-2

「今日は早く解放されたのかい?生でいいね? 生一丁!!」
遼子の仕事の流れも知っている大将はそういうと、お絞りを渡してくれた。

「疲れたぁー、やっと来れたぁー」
遼子が手を拭きながら、今日のおすすめを物色するように
店のメニュー札に目をやる振りで見渡してみたが、真人の姿は見えなかった。

「あれ?バイトの子は?」
真人のことを遠まわしに言ってみた。

「あー、あいつさ、風邪だかで熱出したから休むって・・・。あ、でも
お客には言わないでくれとか言ってたな・・・ま、遼子ちゃんだから、いっか」

大将が気まずそうに言った。

「え、どうして内緒なの?」

「さぁねー、でも あいつ目当てのお客も多いから。ほら、あいつイケメンってやつで
見た目だけでなくて、いい奴なんだけどね、女の子のファンとか・・・来るわけよ。
で、なんか、面倒なんじゃないのぉー? いいねぇ、色男は。はいよっ!生ね お疲れ!」

大将は生ビールを遼子に手渡した。

風邪・・熱・・・?
それでメールも出来ないほど重傷なのか・・?
遼子は突き出しを一口つまむと真人にもう一度メールした。

「今 ふるさと。 真人、熱があるの?大丈夫?」
送信・・・。
パタンと携帯を閉じると、ビールを流し込んだ。

「大将、お茶漬けにして、鮭ね。 疲れちゃったから、サッサと食べて寝るわ」

「あいよっ!」

真人から返事が来ない。
まさしくお茶漬けを流し込んで、遼子は外に出た。
店から少し離れると、真人に電話を入れた。
コールが鳴っている・・・・二回、三回・・・・四回・・・五回・・・
切ろうかと思ったときに繋がった。

「もしもし・・・」
真人の声だけど、元気がない。

「真人?私。大丈夫?」

「・・・・遼子さん・・・遼子さん?」
眠っていたのか、声が少しずつ覚醒されていくようだ。

「ごめん、寝てたのね?起こして悪かったわ。メールの返事もないし、大将から熱で休んでるって聞いて
どうなの?」

「遼子さん・・・・夢をみてたんだ、遼子さんの。電話で起きたら本物の遼子さんで驚いた・・・嬉しい」

「そんなこといいから。熱は?少し眠れたのね?」

「うん・・・。今、何時?ああ、もうこんな時間なんだ・・・。寝たら少しスッキリした。」

「そう、じゃあ良かった。何か欲しいものある?届けてあげるから」

「欲しいのは遼子さんだけ・・・。でも、来ちゃだめだよ。今 追い込みでしょ? 移ると困るから来ないで」

「ふざけないの!食べたくなくても、ほら、プリンとかアイスとか・・スポーツドリンクとか あるの?」

「ない・・・。なにも ないよ。 でも、来ちゃだめだよ」

「わかった わかった じゃ、切るね」
そういって電話を切ると、駅前のコンビニでいろいろ買出しをした。


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