唯高帰宅部茜色同好会!(第二章)-3
「いいかキスケ、吐くなよ?絶対吐くなよ?」
「……わかんね」
「ちょっとテンション下がりすぎでしょ」
「あははー早く動かないかなー」
そうこうしているうちにジェットコースターは動き出した。
「お…おお…おおお?」
「キスケ、本当に大丈夫か?」
カタカタカタと音を立てながら斜め上に上昇していくコースター。
そしてあっという間に急降下。
「おおおおあああああ!!!」
この落下する瞬間の感覚が癖になるんだよな。
少々、前に座っている約一名の絶叫がうるさいが。鼻水とか涎とか飛ばすなよマジで。
それにしても、なんでジェットコースターって走ってる間、笑いが止まらなくなるんだろうか。
俺は爆笑しながらコースターを楽しんでいた。
「次はあれ、真下に落ちるやつ」
マリィの指差した先にはなんかごっついタワーが。
「お…俺パス」
青い顔をしたキスケが右手を挙げた。
「じゃあキスケ一人待たせるのは可哀想だし、あたしも待つよー」
続けてサキが言った。
「おお…サキ、さすが幼なじみだぜ」
「じゃあサキ、猿のおもり任せるな」
「誰が猿じゃウキー!」
残りの四人はサキとキスケを残してシートに乗り込んだ。
ブザーと同時にぐんぐん上昇していく。
「高いな、遠くの方まで見える」
「ほんと、晴れてよかったわね、風も気持ちいいし」
頂上ではしばらく静止するのか、普通に雑談を交わす。
「見てください、人があんなに小さく」
「お、ほん…」
その瞬間、すごい速度で急降下していった。
正直、これには驚いて声をあげそうになった。
何でも、このアトラクションは乗る度に落ちるタイミングが違っていて、突然の落下を楽しむらしい。
去年はキスケのせいでこういった類の物に全く乗れなかったので、なんだか新鮮だ。
その後も、船や飛行機など定番の絶叫系を乗り尽くした。
「さっすがに…疲れたな」
すっかり喉はカラカラだ。
「あはは…ま、あんまりキスケを放置するのは可哀想だし、絶叫系は次で最後にしましょ」
「自覚あったんかい」
キスケがツッコミを入れる。
「…でも、絶叫系って?もう残ってないようなー」
サキがパンフレットを広げて言う。
「ふふふ、また違った絶叫系よ」
マリィはそう言いながらほくそ笑んでいた。