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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜
【学園物 恋愛小説】

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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜-3

 6時。母さんと瑠美が帰ってきた。あたしは、夕飯の支度を始めた母さんのところに写真を持っていって、「母さん、この写真、おかしくない?」と言った。
母さんは、「また勝手にあさったりして!」と言っていたけど、あたしは、かまわず続けた。
「母さん。この写真……。……おかしいよね。」
「それがどうしたのよ!ただの、母さんの写真じゃない!」
「日付っ!見てみてよ!」
母さんは、びっくりしたように、日付を確認した。母さんがカフェでお茶してる写真。
日付は……1993年、3月20日。だけど……
「あたしが生まれたのは、1993年の4月29日だよね。なのに……」
母さんは、一瞬ハッとして、うつむいた。その顔には、汗がにじんでいる。
あたしは、少し怖かったけど、言った。

「母さん、どうしておなかが大きくないの?」

母さんは、ぎゅっと唇を噛み締めていた。あたしは、核心を、突いた。

「母さんは……。 ……本当に、あたしの母さんなの?」

 母さんはずっと俯いたままだったけれど、不意に顔を上げて、ぽつりと呟いた。
「もう……駄目ね。」
そして、覚悟を決めたように「全部話すわ」と言い、どこからかアルバムを出してきた。
開かれたページには、結婚式の写真があった。そこには―――――。
あたしの父さん―――ケントさんと、純白のドレスを着た母さんではなく、ハルさんの姿。「小春の親は、それにも映ってる、桐島健斗と、桐島波留。小春の本当の名前は、桐島小春。母さんの子じゃない。………全部話す」
母さんはそう言って、あたしが生まれた日、二人に何があったのかを話した。

「二人は、小春が生まれる2年前に結婚して、しばらくして小春を授かった。
実は2人共、両親を事故で亡くした孤児だったから、子供―――血のつながった家族ができたと聞かされたとき、本当に喜んでいたわ。
そして、小春が生まれる予定の日。―――4月30日だった。健斗はパチンコに行く、って言って11時ごろに家を出て、あたしは、ハルと一緒に、小春のベビー服を買いに、デパートまで行っていたの。―――――あの日のことは、忘れたくても、忘れられないわ。」

 母さんは、そこまで言うと、一旦口をつぐんだ。
何かあった、と言うのは、言われなくてもおのずと分かっていた。
母さんは、また、話を続けた。
「―――4月30日、午前11時25分31秒。はっきり覚えてる。
そのとき、同じフロアにいたお客さんのタバコの吸殻が、運悪く灰皿から落ちたらしいの。
――――――デパートの4階は、すぐに火の海になったわ。」
 あたしは、息を呑んだ。
母さんとが行ったデパートは、その日、火事になったんだ………。
「母さんとハルは、もちろん、すぐに逃げようとしたの。
でも、小春に着せるために散々悩んで買ったベビー服を燃やしたくなかったのと、
ハルのお産が近かったから、下の階に降りるのにはずいぶん時間がかかったの。
そして、散々苦労しながら、やっと3階に着いたとき。
運悪く、ハルに陣痛が来たの。
当然、救急車なんて呼んでいる時間は無くて。
ハルがとっても苦しそうだったから、とりあえず、無事にデパートから脱出させたかった。
でも、……なんで、不幸って、次々重なっちゃうんだろうって、思ったわ。
階段まで、火の手が回ってきたの。
ハルはそのときガスを吸って、ますます苦しそうにし始めた。
しかも大量に吸ったから、早くしないと、命が危なかった。
そんな時、その日が休診でデパートに来ていたお医者さんが、ハルを抱えて、「すぐに、うちの病院に搬送します」って言ってくれた。
あたしは、神様にもすがるような気持ちだった。
―――――ハルが、助かりますように!
―――――赤ちゃんが、無事に生まれてきますように!……って。


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