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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜
【学園物 恋愛小説】

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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜-4

病院に着くと、すぐに手術が始まった。
あたしは、必死で祈り続けたわ。
でも。
神様は。
…………あまりに残酷だったわ。」
 あたしは、はっとした。そして、「……父さんは?その時、どうなったの?」と言った。
「……健斗は。健斗は、行った先で火事にあったみたいで。……デパートが火事になったのと同じ時間に。それで………」
胸の中がざわざわした。
かすれた声で、やっと、「………嘘…だよね?」と言うと、母さんは、涙目になりながら、「全部ホントよ」と言った。
「ハルと健斗は、同じ日の同じ時間、別々の場所でそれぞれ火事に巻き込まれて―――」
母さんは、すうっと息を吸って、一息に、言い切った。
「―――――死んだ」
 
そのときのことは、あまり覚えていなかった。
あたしは、まだ頭の中がぐるぐるしているまま、家を飛び出したんだったと思う。
―――――母さんは母さんじゃなかった?
―――――母さんとも、瑠美とも、血が繋がってない?
―――――この世に身内が居ない? 一人も?
―――――そうか。

―――――――――――――――あたしは独りだったのか――――――――――――――

気持ちの整理をつけようとして、あたしは、ふっと、空を見上げた。
こんな時に限って、星のキレイな夜だった。

                   *

 小春の、俺達にとっては少し………いや、かなり重すぎる過去が、語られた後。
千秋さんが、まだ何も言うことすらできなかった俺達(俺、夏樹、冬香ちゃん)の代わりに、「ハルちゃんは………。 ハルちゃんは……天涯孤独……って事?」
小春は、黙ったまま、頷いた。
天涯孤独。
その言葉が、俺の心には、とても重く感じられた。
小春には、もう、血のつながった人間なんて、一人も存在しないのだ。
この世で、死ぬまで一人ぼっち―――――――――――――――――。
―――――きっと、小春だから、耐えられるんだ。
俺達じゃ、絶対に、耐えられない。
そう思ったとき、小春が、あわてて言い繕った。
「で、でも、身内が居ないって思っても、今は、ぜんぜん寂しくないよ。
………さっきは、ちょっと、我慢できなくて、泣いちゃったけど。
あたしは、初めて、あたしには、親も兄弟も居ないって分かったとき、あたしなんて、生まれてこなくても………って思ってた。
でも、この手紙を読んでからは、ちょっと、変われたと思ってる」
 小春はそう言って、さっき読んでいた手紙を取り出した。
青い空と丘をバックに、きれいな花を咲かせる桜のイラストが描かれた便箋が、2枚。
それが、同じ柄の封筒に入っている。
俺達がしばし覗き込んでいると、小春が「……読む?」と言ってきた。
「いいのか?」と夏樹が返すと、小春は「いいの。こういうことは、みんなにも知ってもらったほうが、楽だろうから。」と言いながら、便箋を取り出して、読み始めた。
その文面を、ここに載せようと思う。


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