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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜
【学園物 恋愛小説】

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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜-1

4月29日(木)の議事録  

 小春の誕生日だったその日、俺はいつもより早く生徒会室に来ていた。

室内にはいつも通り小春がいて。
窓の外では、遅咲きの桜がやっと、ピンク色の花を咲かせていた。
俺は、用意しておいた誕生日プレゼントを持って、小春に歩み寄った。そして―――――
驚いた。
小春が。
いつも、強がってばっかりで、弱音なんて吐いたことの無い小春が。
1通の手紙を見つめて、ぽろぽろと涙をこぼしていたのだ。
俺がしばし戸惑っていると、小春がハッとしたように顔を上げて、「はやた。」と言った。
それから、ブレザーの袖でごしごしと涙をぬぐうと、いつもの調子で「最近は早いんだね。」と言った。だけど、その顔は涙に濡れていて、いつもの元気さなんて微塵も感じられない。
「こ、小春」
「………どう、したの?」
「今…泣いてた、よな。」
「……うん。」
「何か……あったのか?手紙か何か見て、泣いてたみたいだけど。」
「………………」
それもそうか、と思った。たった今、誰にも見せたことが無いような泣き顔見られて、しかも「何かあった?」って訊かれちゃあな……俺だってつらいだろうし。
と、ここで。
 
最悪のタイミングで。

ご一行が。

夏樹と、千秋さんと、冬香ちゃんが。

ご到着されました。

案の定、この三人に勘違いされ。
「てめぇコラ、何、小春泣かせてんだ―――――――――!」
「高君……貴方、何の躊躇いも無く女の子を泣かせるなんて……」
「先輩……先輩は絶対に、女の子を泣かせたりしないって、信じてたのに…」
「や、えと、これは、その、だな。えーっと…」
何とか誤解を解こうと思って、試行錯誤していると。
「みんな、ごめん。違うの。」
もう立ち直ったのか、小春がこう言った。
「ごめん。あたしが泣いてたの、中学のときにもらった手紙のせいで……」
 ―――――――――――――――――――――――――――――………?
俺たち全員の頭上に、「?」マークが飛んだ。訳が分からない。手紙が、しかも、ずいぶん前にもらったものが、泣くような原因になる事なんて………。
…………あ。
「転校した人からの手紙とかか?」
う。夏樹に先を越された。だけど、小春の返事は…………
「違う。」首を振りつつ、はっきりと返された。
「あら?じゃあ、何でたった一通の手紙で泣くことに…?」
千秋さんが不思議そうにしたのを見てか、小春はこう言った。
「あの……話すと、長くなるから…。一旦、座らない?」


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