第11話-1
寝息をたてているお父さんを起こさない様に、そっと布団から抜け出してベランダに出た。
外は蒸し暑い空気が肌にまとわりついてきて、ますます寝られなくなりそうだった。
お父さんにやっと悩みを言えた。
本当は言うのを迷ったけど、いざ言えたらすっきりしちゃった。
ずっと石みたいに重い塊が胸につかえてたけど、ちゃんとお父さんに本音を言えて良かったと思う。
・・・でも怖かった。
もし悩みを打ち明けて、私なんか娘じゃないなんて言われたら、そう思うと決心がつかなかった。
(もう終わりにしよう、早貴。こういう関係は)
分かってる、分かってるよお父さん。やめなくちゃいけないんだって。
お父さんがやっとお母さん達に会う決心がついたんだし、このまま二人だけで暮らしてたらいつまで経っても止められない。
私もずっと会いたいって言い続けてたから、やっと願いが叶って嬉しい。
(・・・したい、お父さんと・・・)
いけない、また私の暗闇の部分が囁いてくる。
決めたの、駄目。もうしちゃいけない。お願いだから言うことを聞いてよぉ・・・
「つかまーえた」
「きゃ?!おっおっお父さん?!」
手すりに寄りかかって考え込んでたら、いきなり後ろから抱き締められた。
汗ばむ肌がパジャマに密着して、むわっと蒸せる匂いが立ち込める。
「起きたらいないから心配したぞ。でもベランダが開いてて安心した」
「暑いよぉ、やだぁ。ぬめぬめしてるし」
お父さんは髪を撫でながら私を優しく抱き締めている。
昔からそうだったね、時々こうしてあやしてくれたから。
でも、あんまりお父さんの方からはしてこなかったと思う。珍しい事もあるんだなぁ・・・
「戻ろうぜ早貴。外は暑いだろ?」
・・・お父さん・・・おとぉさぁあん・・・
ニオイ嗅いじゃいけない、我慢できなくなっちゃうよぉ。お願い、そんなに密着しないで。
「おっ、おい?!ちょっと何してんだよ」
私は思わず撫でてくる手首を掴んで、そのまま自分の口元に運んでいた。
お父さんの逞しい指をまるで、おちんちんみたいにしゃぶって・・・
離そうとしてもそれをさせず、ちゃんと目を見ながら手のひらや指の間に舌を這わせた。
「汗かきすぎ。しょっぱいよ、うふふふ」
「・・・早貴・・・」
私にされるがままのお父さん。
抵抗できないのか、或いは私の自由にさせようとしてるのかは分からない。
自分から体の向きを変えて、今度はお父さんの唇を奪ってしまった。
触れ合うだけのつもりだったのに、いつの間にか唾液が滴る舌を出して唇まで愛撫している。