Crimson in the Darkness -来臨-U-2
こいつにはあのヴァンパイアの一件以来、黒瑪瑙(ブラックオニキス)のペンダントを護符代わりに持たせている。あんな連中相手だと“無いよりマシ”程度のものかもしれないけど。
「うん?」
こんなやり取り、絶対オレのガラじゃない。…………やりにくい。
溜息を一つ零すと、オレは傍に置いてあったジャケットを手に持ってソファから立ち上がった。
「んじゃ、行ってくる」
++++
行き慣れた青い屋根の教会――
いつもの様に正面から中に入ろうとしたら、見慣れないヤツがいた。
金色の髪に青い瞳の男。白いシャツに黒のジャケットとズボン、そして、首に提げているのは金色の十字架(クロス)。―――コイツが本国からの使い。正教会本部の御エライさんか。
「アンタが本国からの客人か?」
「………………。アーク・フレイズ、だな」
返答など全く無く、こっちの顔を見るなり、オレの名前を口にした。