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HOLIDAY
【女性向け 官能小説】

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HOLIDAY-前編--4

「あんた、ごきげんねえ」

すっかり場が和んだ。役者やのう。

「あ、そうだ。ケーキもらった。キッチンに置いてあるってさ」
「え。ありがとう。お茶入れるね」

美里さんがキッチンに行くと、悠太もついていった。

「逃げられちゃった」

てへ。っと姉貴が舌を出す。




美里さんが、皿にケーキを載せて持ってきた。

あれ?

「姉貴。3つしかないよ」
「いーの。私はこのコと一緒で。甘いのあんまり食べないから。このコ、早くも酒飲み口なんだよね」
「なんだよ、どうせなんだから、もらってくりゃいいのに」

ケーキは義理の兄(兄って気はまったくしないな)、僕の幼なじみの涼の作。ケーキ屋をやってて結構流行ってる。
所謂、パティシエ。でも涼ちゃんに言わすと、『ケーキ職人』なんだそうだ。
お軽いクセに、そういうとこには拘ってて、流行の言葉で言われるのが気に入らないらしい。

美里さんの運んできたお盆の上にはティーポットとカップが2つ。マグが1つ。オレンジジュースの入ったグラスが一つ。

美里さんが、紅茶を注ぐ。
最近飲んでる桃のフレーバーではなく、普通の紅茶。ケーキと一緒だからかな。

美里さんは紅茶派。僕はどちらかといえばコーヒー派。(さらに言うとインスタントでも問題ない。ちゃんと区別は付きます、一応。)
気分次第で、二人同じモノを飲む。
紅茶もコーヒーも、1人で飲むより美味しくなるのだと笑う。
それは単に気分の問題ではなくて、味が違うのだそうだ。
カップを僕と姉貴に。オレンジジュースは悠太に。
美里さんはマグを取った。

「揃いの食器がないの。悠ちゃんはコップで大丈夫?ストローないの」
「あ。大丈夫。なんとかなるし」

悠太は姉貴の膝の上に立ち、手をテーブルにおいてケーキを見ている。

「悠太、食うんじゃねえ?」
「へんねえ。いつもは興味なさそうなんだけど」

姉貴の膝の上で屈伸状態。

「悠太、取れ。…これか?」

指さした苺ショートを目の前に置いてやると、悠太は苺を掴んで食った。
が、その後のクリームやケーキには興味がないらしい。
姉貴が口に運んでみても顔を背ける。


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