サキュバス-5
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
それは凄まじいものだった。デモリーナと結合すると同時に、巨大な快楽の渦に飲み込まれた。体が、ありえない強さで震え、痙攣し続けている。
射精が止まらない。俺の肉が、骨が、内臓が、どろどろに溶け、精液となり吹き上げるのだ。幸福感に包まれる。俺の全てをデモリーナに捧げたい。
その思いだけが俺を支配していた。
もう意識が保てない。脳が溶け始めたのだろう。その時だった、デモリーナから濃厚でとろけるように甘く切ない感覚が流れ込んできた。デモリーナのエクスタシーの始まりだった。
「デモリーナ・・・・ 愛してる・・・・」
俺の言葉が届いたのか、デモリーナのエクスタシーが急激に上昇していく。
俺の体が燃え上がり炎に包まれていく。恐ろしいほど純粋な感覚が流れ込んでくる。それは、苦痛を遥かに通り越し、意識を飛ばすことさえ許されないものだった。デモリーナのエクスタシーを受け止めれば、助からないことは分かっていた。それでも俺は、それを求めずにいられなかった。
そして、時が来るのを待っていた。
俺は、生きた証を残そうとしていた。デモリーナの卵子を受精させる。
それは、デモリーナがエクスタシーの頂点から深みに落ちるその瞬間にしか可能性はなかった。
デモリーナのエクスタシーが発する強烈なエネルギーに曝され、俺の手足は燃え尽き炭となって崩れ始めていた。そして遂にその瞬間はやってきた。
デモリーナの精神エネルギーが爆発的に放出された後、急速に萎んでいく。
そして、デモリーナの意識が途切れた瞬間だった。俺は、デモリーナの子宮の奥深くにペニスを侵入し、デモリーナの卵子を抱き占めると選りすぐりの精子を抽入することに成功したのだ。
思いを遂げると同時に、体がふわふわと浮き上がる感覚に襲われた。朽ち果てた肉体から意識が離れ、少しずつ空気に溶け出していく。俺は、死のが訪れたことを悟った。思い残すことはなかった。ただ、愛するデモリーナの姿をもう少しだけ見つめていたかった。
「デモリーナ、お前は本当に美しい。お前に会えてよかった・・・・・」
その時、だった。デモリーナが目を醒まし、俺の意識を鷲掴みにしたのだ。
そして、既に原型を留めていない俺の体に、その意識を無理やり押し込んだ。想像を絶する痛みが俺を襲う。そして、悶絶する俺にデモリーナは静かに言ったのだ。
「勝手に死ぬことなど許さぬ。私の夫として生きよ。」
死んだ方がましとはこのことだった。デモリーナが俺の体を再生するのは容易いことだろう。しかし、再生の間、俺は肉体の苦痛をもろに味わうのだ。しかも夫だと? デモリーナと交わる度に、俺は焼き尽くされるのだ。
デモリーナお願いだ。それだけは勘弁してくれ!
終