第9話-4
「綺麗になるのはお父さんが先だよ、もう、みっともないなぁ。こんなに汚しちゃってぇ」
「早貴ぃ・・・どうしてこんな事を、はぁ、あっ」
ずきん、と胸が痛んだ。
何でするのか私が知りたいくらいなのに。
「だって、お父さんが好きだから。好きな人にはいっぱいしてあげたいでしょ」
聞かれて咄嗟に出た言葉がそれだった。
果たして反射的に考えた建前か、私の意識の奥底にある言葉なのか、どっちなんだろう。
舌で付着した白いものを掬い採る様に根元から舐め上げていく。
お父さんの男の臭いが立ち込めて、鼻の奥にこびりつくくらいに強烈に刺激してくる。
前にした時は飲もうとしたけど、無理だと思う。匂いだけで吐きそうなのに。
よく口の中に出させたと自分のことながら思ってしまった。
「今度はお父さんからしてぇ。早くぅ・・・」
「・・・・・・早貴・・・」
お父さんは私を抱き締めて唇を重ね、舌を絡ませながら体を抱え上げた。
そんな些細な事でも私の心は踊る様にドキドキする。いつまでもこうしてほしいと思ってしまう。
やっとその気になってくれたんだね。嬉しいな。
いつもそう。お父さんはあまり自分から遊びに誘ってくれなかったね。
だから、私からしてあげなくちゃ。
「・・・ん・・・////」
お父さんが敷いた布団の上で、互いの体に腕を回して絡み合う。
指が脇腹に触れて微かにくすぐったい。
お父さんが、くすぐったいのは子供の証拠だって言ってた。
(・・・まだ、戻れるのかな・・・)
何か大切な事を考えた気がするけど、お父さんの手が私のブラウスのボタンを外し始めて、それどころじゃなくなった。
ひとつ、またひとつと外されて、着けていた下着が露になる。
「見ないで。お願い」
視線を胸元に感じて思わず手を突き出し、お父さんの胸板を押してしまう。
でも、びくともしない。お父さんは私ではどうにもできないんだ、と寂しくなった。
「じゃあこっちなら見てもいいかな」
「きゃ!ちょ、ちょっと、急に脱がさないでよっ」
紺色のスカートを外して、同じ色のハイソックスも脱がしてしまう。
私を包み隠すものは白の下着だけで、恥ずかしかった。
「恥ずかしくなんかないぞ。俺も・・・ほら、すぐ脱ぐから」
私を脱がすよりも早く着ていたワイシャツを脱ぎ捨て、ベルトを外すと同時にズボンを下ろす。
文字通りあっという間で、靴下と下着も脱いで生まれたままの姿になった。
「さあ・・・早貴も、全て見せてごらん」
「ん・・・」
生唾を飲み込み、抵抗しようとする両手を布団に押しつけた。
駄目じゃない、お父さんがやっとその気になったのに。嬉しいでしょ?ねえ・・・
私を包んでいた感触がふわりと外れて、布団の外に置かれた。
見られてる・・・私の、体。色んなところを、お父さんの目が這いずり回ってるよ。