Crimson in the Darkness -権輿-T-2
あの時のオレもどうかしてた。素性も解からない子供を家に連れて帰るなんて、気がどうかしてたとしか思えねぇ。
そして、このガキも生意気だ。20を超えて間もないオレをオッサン呼ばわりした上に、何かと食って掛かってきやがる。しかも、エラソーに。
「掃除も洗濯も出来るもん!! つーか、オッサン何して稼いでんの?」
「あ? イロイロだよ、イロイロ」
ガキなんざにゃ解かんねぇ崇高なおシゴトだからな。教えるなんてメンドクセェ。
「ふーん。気の短そうなオッサンでも雇ってくれるトコ、あるんだな」
「放り出してやろうか? クソガキ」
流石にムカつくな。ガキがエラソーに人を見下してんじゃねぇぞ。
「クソガキじゃない! おれにはリーって名前があるんだ!」
ムキになってくるあたりがまだまだ子供じゃねぇか。
「じゃあ、リー君。さっさと朝メシ作ってくれるか? オレ、腹減って死にそうなのよ」
そこで漸くベッドから降りたリーはブツブツ言いながら、キッチンに向かって行った。
あいつが寝ていたベッドに座って、溜め息を吐いた。
毎日、昼過ぎから朝方まで仕事して、帰ってきたらあのガキがいて、この1ヶ月ゆっくり休めたタメシがない。
「腹減ったのになー……眠ぃ……」
オレの意識はここで完全にフェードアウトした。