Crimson in the Darkness -権輿-T-10
「別に。さっさと片付けて、帰ろうぜ」
さっさと帰って、メシ食って、寝る。取り合えず、毎晩毎晩、ンな仕事ばっかで疲れてんだよ。もう早く帰りてー。あ、シャワー浴びなきゃ、アイツうるせーな。
なんて思ってたら、横でニヤニヤしながら相棒(シエル)笑ってる。
「だね。家で待ってるんでしょ? 可愛い子が」
「あ? そのクソガキのどこがカワイイんだよ」
口煩いガキの何処がカワイイのか、オレの頭じゃ理解不能だ。なのに、まだニヤニヤしてるシエルは更に愉しそうにしてやがるし。
「この前会った時、人懐っこそうに笑ってたよ。子犬みたいだよね」
「ふうん。鬱陶しい事この上ないけどな」
「そう? アークにしては結構可愛がってたようなカンジしたけど」
「ああ?」
オレが? いつ、アイツを可愛がったよ? コイツの目、おかしいんじゃねぇの?
「いや、そんな凄(すご)まれてもね」
「うっせーよ。さっさとやるぞ」
会話を無理やり切り上げて、腰に装着していたホルスターから拳銃を引き抜いた。