けんぽなし〜オトナ〜-6
「ばーーかっ!!」
ーうっっ
「…知らないオヤジとホテル行って自分を安売りするのが大人かよっ、休みにわざわざ制服来て担任とやるのが大人かよっ、俺は、何にも出来ないくせにすーぐ首突っ込んで、どうにかしようともがいてるガキのがカッコイいと思うけどな」
ー…………
「ほら、行くぞ」
空はまた背を向けてゆっくり歩き出した。
家に着いたときには10時を過ぎていた…
当然…
「何やってたのよっ!!今何時だと思ってるのっっ!!」
母の雷が…
「スミマセンっ瑞樹のかーさん、俺達がバカ騒ぎして、瑞樹引き止めてて…」
空が私の前に立ち、頭を下げた。
ー…空…
「きゃーっ空?空?大きくなって〜〜か・わ・いいーー!!」
ー…おい……
そんな空を母は強く抱きしめる…
だけど、そのおかげで雷は不発に終わった。
空が家を出て、母は私を抱き寄せた…
ー………
「二度目はないよ」
そして耳元で凄まれた…
ーひぃーーーっ
「いや〜しかし空、いい男になったね〜、瑞樹かばってあんなに必死にさ〜、瑞樹のこと好きなんじゃない〜?」
ーへ!?
「何それ!?何それ!?」
ーへ!?…ナイナイ…ないないないない、なーーーいっ!!あり得ないでしょーーっ!!
翌日、蝉の声で目が覚めた…
『…何も出来ないくせにすーぐ首突っ込んでどうにかしようともがいてるガキのがカッコイい…』
昨日の空の言葉が浮かぶ…
ーあれって…私の事?…だよね?
時計に目をやってびっくりだった。
まだ5時だ…
ー早っ
パンの臭いが立ち込める…
母は、受注制のパン屋をしてて、いつもパンを焼いている…