第7話-5
「面白かったね、お父さん!」
不思議な事に早貴は詳しく映画の内容を話している。
ずっと俺とキスしていたのに、と思ったが、時間にすれば短かったのかもしれないな。
「もう一回見ない?見ようよ!」
「見たばっかりだぞ」
「ちゃんと見れなかったんだもん・・・最後の方」
やっぱりきちんと見られなかったのかよ、と肩をすくめてしまった。
でも、また見たいというのは、つまり・・・・・・
「・・・次はやらないよ。ちゃんと最後まで見るんだから」
それを聞いて肩透かしを食らった気分になった。
いきなり衆人観衆の場所で唇を求めてきたと思ったら・・・
果たしてそれが悪戯なのか、急に欲しくなったのか、或いは別の動機なのか、分からない。
娘というのは魔性の存在なのかもしれない。
幾つになっても父親を困惑させ続けるのだから・・・
「もー早く!お父さん遅いよ!始まっちゃう!」
俺を急かす顔は、微かにさっきよりも赤くなっている様な気がした。
〜続く〜