第6.5話-2
「・・・鈍いな、お父さんは」
「は?何の事だ」
「握って」
なんだ、催促だったのか。口で言わなきゃ分からないだろ、ただ揺らすだけじゃ。
下唇を突き出す娘に苦笑いしながら、出された手をそっと包んでやった。
そしたら、不機嫌そうな顔が一転してふにゃりと柔らかい笑顔になった。
「子供」
「違うもん。可愛い娘だもん、そうでしょ?お父さん」
「自分で言うなよ」
早貴は子供扱いされるのを嫌がるけど・・・
父親としては、出来るだけ長く子供でいてほしいんだ。
手を握ってるだけで笑ってくれる、可愛い娘のままで・・・
〜続く〜