ラバーズ・ラヴァー-1
念願のソファーがやっと届いた。
ちょっと前だと何十万もした革張りのソファー…
今はアウトレットで4万円もしない。
それでも、私はこれを手に入れるまでどれだけ欲しいと思っていたか…
そもそも一人暮らしの1Kには似つかわしい物とは言えない。
おかげでテレビはキッチンに移動されて冷蔵庫と仲良く並ぶはめになっちゃった。
でも欲しかったの、ずっと前から…
私はこのひんやりした革の感触がとっても好き。
私はちょっとヘンな癖があって肌に触れるこんな感触にちょっと敏感にできている。
例えば、ほんの時々だけど残業になったりすると誰もいなくなったオフィスでオナニーしてしまう事もある。
残業になると必ずといっていいほどする。
下着を脱いでスカートを捲ってしまうとお尻に直接触れるひんやりしたチェアの感触が気持ちいい。
普段はクッションなんか敷いてるけど、本当はあんなものいらないとさえ思ってたりもする。
ギシギシと軋む背もたれの、あの音も疲れた私を興奮に導いていく…
でも、本当はこうした革張りの大きなチェアが欲しかった。
さっそく私は全裸になり、届いたばかりの革の匂いと冷たい感触の上で自分を愛してあげた。
…・…・…・…
それから幾日かしたある日。
私はポストに不審な封筒が届いてるのを見つけた。
宛名も何もなく、封筒の裏にはボールペンでただ[ K ]とだけ記してあった。
(何だろう?…)
そっと中を開いてみたら裸の私がソファーの上、あられもない格好でオナニーに没頭してる姿が何枚もの写真に写されていた。
慌てて私は窓の外を見る。
立ち並ぶビルやマンション。
ここは5階でおいそれと登って盗撮はできない…
前は小さな公園でその向こうは高速道路の高架に挟まれている。
一番近いビルはここよりも低いし、正面から見えるのは乾物商のオフィスで少なくとも私は他の建物の窓の中までは肉眼で自分からは見えないから気にした事もなかった。
カーテンは眩しい時にしか使わない…
この中のどこかから撮影されたのだ。