第5話-2
〜〜〜Saki's Side〜〜〜
「ふんふ〜ん♪ふん、ふん」
えりかちゃんが窓に寄りかかり、鼻歌を歌いながらメールを打っている。
「彼氏?」
「あったり〜。明日一緒にお風呂入るんだ」
やけにテンション上げ上げだけど、本当はそれが原因じゃない。お風呂でおねだりするからだ。
えりかちゃんは欲しいものがあると必ずお風呂でおねだりする
昔からそうだったけど、高校生になっても変わらず続いてるのは少しびっくり。
彼氏、というのは周りに人がいる場合の合言葉みたいな呼び方だ。
「日曜に映画見に行くの!」
「い〜なぁ私も見たいよ、行ってもいい?」
「こらこら、それはいかんぞ中島くん」
分かってる。ちょっと言ってみただけ。
「私も入るんだ、お風呂」
「何が狙い?」
「ううん、入りたいから。私は純粋に彼氏が好きなの」
「うちもだよ。たまにはおねだり以外でも入ってあげようかな」
・・・純粋じゃあ、無い。
体が目的なんだから不純そのもの。私は嘘をつきました。
映画に誘うためにお風呂に入ってあげるえりかちゃんの方が純粋だよ。