第4話-5
「ん、んぐ・・・こほっ」
今にも吐き出しそうな娘に、両手を反射的に水を掬う様な形で差し出していた。
「吐き出せ、すぐに!」
「ん・・・んぶ、んぅう・・・うっ!?」
まるで、食べられない物を食べようとする様に必死に噛んでいたが、
遂に我慢出来なくなって俺の手にどろりと吐き出してしまった。
時折小さく嗚咽しながら、奥の方まで入り込んだ白濁液を掻き出す早貴。
「ぇほぉ、けほ、うぇ・・・ぇ、んっ、はぁ、はぁ」
必死に吐きそうになるのを押さえようとしている。俺には喉から微かに出る声がそう聞こえた。
早貴は顔を上げて懸命に笑顔を見せてくれる。
「飲めると思ったけど、無理だったみたい。へへ」
いつもの高い声が擦れて、まるで無理矢理絞りだした様で痛々しい。
瞳にいっぱい涙を浮かべて、激しく動いたら零れてしまいそうだった。
「待ってろ早貴、動くなよ。今すぐ綺麗にしてやるから」
ポケットから出したティッシュで、唇の周りを丁寧に拭き取る。
自分の手が汚れているのを思い出したが、まずは早貴の顔を綺麗にしてやるのを優先しよう。
「・・・気持ち良かったでしょ?お父さん」
しばらくしてぽつりと呟いた。
もう気持ち悪さは落ち着いた様子で、ほっと胸を撫で下ろす。
「だって、あんなに出たんだもん。そうでしょ?」
早貴にとって気になるのはそっちの方らしい。
俺はまだ気が気じゃないぞ、いつ吐き気が襲ってくるか心配だ。
「嬉しいな。私がしてあげて、お口にいっぱい出してくれて、うふふふっ」
まるで悪戯にかかった相手を笑うかの如く、無邪気な顔の娘を見て背筋にうっすらと寒いものを感じた。
もしかしたら、俺の手に負えない程娘には危険な部分があるのかもしれない・・・
「・・・一緒にお風呂入ろ」
「えっ?!ダメだ、それはできない!」
「今日じゃないよ。土曜日、週末。それならいいでしょ?」
週末なら問題なくて今日は出来ない。
果たして違いがあるのかどうか、片方だけ出来るのが本当に正しいのか、動揺している俺には判断がつかなかった。
「約束だよ!お父さん」
娘が掴む手を、振りほどけないと思った。
力が強いだとかそういう理由ではなく・・・
〜続く〜