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【片思い 恋愛小説】

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春2.5-6

「俺は基本的にお前を信用してないからな」
「…ふん」

そーゆう事か。

「で、今日は何の用?」
「お前永沢をどーするつもりだ」
「は?」
「あいつ、いつもここに来て何してんの」
「ご飯食べて帰るだけよ」
「どうだか」
「あたしがあいつに何するって言うのよ」
「さあね。俺には考え付かないようなろくでもない事じゃね?」
「…喧嘩売ってんの?」
「忠告してんだよ、お前は周りの人間なんか道具にしか思ってないだろ」

こいつにこう言われても仕方ない事をあたしはした。

昔、付き合っていた男が松田に乗り換えた。
松田に何も問題はない。あの子はあたしの男だと知らなくて付き合ってたのだから。

でも許せなかった。

松田が気に入らなかった。
あたしは一生懸命演じて周りの信頼を築いていくのに、あの子は自然にしているだけで人に好かれる。

ズルイってずっと思ってた。

だから松田を陥れようと思った。
その道具に選んだのが小松。

適当に遊んで捨ててくれれば良かったのに、あろう事か二人は両思いになって結婚までしてしまった。

大誤算だった。

だけど――…

「俺、永沢と松田が似てる気がすんだよな」
「何それ」
「お人好しで、人を疑わない」
「…あぁ」

そういえば似てる。

「だから、いつかお前は永沢を傷付ける気がする」
「は!?」
「お前が特定の人間と仲がいいなんておかしいもん」
「ちょっと、勝手に決めないでよ!あたしがいつ永沢と仲良くした!?あたしは付きまとわれてるだけ!それに永沢はあたしの――」
「言っただろ、俺はお前を信用してないって。ついでに言わせてもらうと、松田にも二度と近付くな」
「…っ」
「付きまとわれてるって言うなら、お前が永沢を切れ」
「切る?」
「あいつがお前を気に入ってるとしても、フラれたら諦めるだろ。まだ四月だし、傷も浅く済む」
「…、あんた何様よ」
「俺はお前が嫌いなだけだ」
「…」

身体が震える。
怒りじゃない。
この感情、これは、悔しいだ…

小松にあたしの何が分かるのよ。

確かにあたしは松田を陥れようとしたよ。小松と上手くいって失敗したって思ったよ。

だけど、心のどこかでホッとしてた。
松田が傷付かなくて良かったって本気で思った。
あたしの上辺だけの友情はきちんと育っていたんだ。

あたしは松田が好きだった。
だから松田を傷付けたりしない。
二度と近付くななんて言われたくない。


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