第2話-2
「俺だって娘に作ってもらったよ。羨ましくは無い」
「お前には自慢にはならないか。はぁーあ。じゃあ食うか」
・・・梅田も、きっとえりかちゃんも知らないだろう。
早貴が日曜日になると俺に抱きついてくるのは・・・
きっかり5時で役所を出て、まっすぐ帰らずスーパーに寄り道した。
飯はいつも早貴が用意してくれるからたまに酒を買うくらいだが、
・・・今日は飲まなくちゃもやもやしっ放しになりそうだからな。
隙あらば早貴の唇が俺の意識に貼りつこうとする。
ビールしか買わないつもりだったが、プリンもあったので買っておいた。
早貴の好きな生クリーム入りのやつだから、きっと喜ぶたろうな。
アパートの階段を上がり、鍵を差し込んで回したら既に緩くなっていた。
早貴が俺より早く帰宅するのは当たり前の事なので特に何も疑問に思わず、ドアを開ける。
(・・・・・・ん)
いつも綺麗に揃えてある靴が乱雑に放置されていた。
こういう脱ぎ方をする時は決まって早貴は明るくない。何かあったのか?
辺りを見回すと、トイレのドアが少し開いてるのに気付いた。
きっと中で落ち込んでるんだろう。必ずではないが大体あそこでへこんでる事が多い。
袋を居間のテーブルに置き、そっと足音を立てない様にトイレに近づいた。
「・・・っ・・・ん、うぅ・・・っ」
いけないと思いつつ中を覗いたら、小さく嗚咽が聞こえた。こういう時はそっとしておくしかないだろう。
「あ・・・んん、んぅ・・・はぁ、あぁ・・・」
そう思ったが心配なのでこっそり覗いていると、何やら様子がおかしい事に気付く。
僅かな隙間から目を凝らしてみると・・・
早貴が便座に座り込み、長い足を投げ出しだらしなく開いて、手で自分の下半身をまさぐっているのが見えた。
(何をしてるんだ?!お、お前、おい!)
俺は喉元まで出かかった声を必死で飲み込み、淫らな行為に耽る早貴を見つめていた。
「んはぁ・・・んふぅ。はぁん、あっあっ、あぁああッ」
制服のままで、スカートと下着を脱ぎ下半身を完全に露出した状態の娘。
時折体を小刻みに痙攣させながら、一心不乱に自らの割れ目の中に指を差し込んでは抜くのを繰り返している。
(嘘だ。嘘だ、嘘だこんな事。早貴が、これのやり方なんて知ってるはずがない)
信じられなかった。信じたくなかった。
「あっ・・・ぁぁああああ、はぁあああああ・・・!」
俺の願いも今の早貴に届くはずがない。
汗ばんでいる早貴の額や頬に髪が貼りつき、胸元まで綺麗に垂れ下がっている。
これ以上見るのが怖くなって思わずその場を離れ、静かにアパートの外に出た。
「・・・・・・」
俺だって、その行為を全くしないわけじゃない。
人間である以上欲求は必ず湧いてくるのだから、責め立てるつもりはない。
「・・・俺は、最低だ」
早貴の行為を見て¨反応¨しているその部分を殴りたくなった。
ベンチに座ったままの俺の足はしばらく動けそうにない。
しばらく惚けていたせいか着信に気付かなくて、早貴からの電話に出るのが遅れてしまった。