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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風〈決意篇〉-19

「私達も友人として、これから先も共に戦おうと考えました。でも皇子は信頼しているとおっしゃいました。」

千羅の声で再び彼らの下に視線は戻される。千羅は俯いたままの姿でさらに言葉を続けた。

「その言葉のおかげで私達の立場が確定したのです。」

「…立場?」

カルサは静かに問う。千羅は返事をして、ゆっくりと顔を上げた。

「側近としてお仕えすること。私達は私達にしか出来ない役割を果たす覚悟があります。」

悲しくも強い瞳、千羅の目には様々な感情が交ざりあっていた。

千羅の言う役割、そしてそれを果たす覚悟が何を示しているのか理解できなかった。しかし穏やかに微笑む二人は迷いがない目をしている。

「この先も迷いなく前を見て歩いていけます。ご安心ください。」

二人合わせて頭を下げた。やはり役割というのがカルサには分からないが、二人が心を一つにして強い覚悟を決めたのは伝わってきた。

「前を見て、進んでいけばいいのか?」

確かめたいのはそれだけだった。

「はい。貴方様の目的を成し遂げる為に。」

大切に手渡したその言葉は二人の気持ちそのものだった。覚悟は出来ている、一体何の覚悟かは分からない。しかし彼らは自信に満ちていた。分かった、そう答えてカルサは二人に向けて両手を差し出した。それは立ち上がるための合図、二人はそれぞれカルサの手を取り立ち上がった。

そしてカルサは一歩進んで、二人を抱きしめた。軽く、でも確かな力強さを感じる。

「宜しく頼む。」

その声はどこか嬉しそうで、自然と二人を笑顔にさせた。そっと気持ちを受けとめるようにカルサの背に手を回す。二つの手のぬくもりを背中に感じてカルサは笑った。

三人の絆の深さは誰も適いはしない。貴未は微笑み、そしてまだ遠くにいる日向に視線を送った。貴未の視線に気付いた日向は応えるように笑う。そして一歩を踏み出した。

確かな足取りは靴音を響かせ、その存在を知らせる。カルサ達も日向の存在に気付き、黙って彼を受け入れた。

「日向。」

小さく彼の名を呼んだのは千羅。カルサ達の目の前で足を止め、日向は向かい合った。

「カルサさんのこれからの行き先を教えてもらった。オフカルスのその先も、僕は一緒に行きたい。」

真っすぐな瞳は緊張しているからか気負いが感じられた。肩に力が入っているのが分かる。


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