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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風〈決意篇〉-20

「何故だ。」

拒む訳でもなく、カルサは日向に問う。表情は少しも変わらず、カルサの感情は読めなかった。しかし不思議と恐くはなかった。

日向は小さく頷き、今自分が思う素直な気持ちを口にする。

「僕はカルサさんを知りたい。」

その言葉は周りに強く影響を与えた。

日向は記憶が戻ったのだろうか。その筈はない、彼は記憶がない自分に不安を感じている。そして記憶を取り戻す糸口を強く求めている。

カルサの弟であるという事、確かな絆を目の前にして何か感じたのかもしれない。

「知ってどうする。」

少し冷たくも感じられる言い方、でもそれは恐がっている合図のようにも聞こえる。確実にカルサは日向が記憶を取り戻す事を恐れていた。

「どうもしないよ。僕はただカルサさんを知りたいだけ。何か感じるんだ、絆…みたいなものを。」

一瞬、カルサが身構えたのを周りは感じていた。

「そんな物は無い。」

吐き捨てるような台詞、迷惑そうな顔をされても日向はひるまなかった。

「それでも火の力を持つ僕はこの先役に立つと思う。損はない筈だよ?」

日向に退く気配はなかった。絆が運命の糸を手繰りよせ日向の歯車を放しはしない。

口惜しい気持ちが拳に表れた。日向はまっすぐ答えを求めている。

応えなければいけない。

「好きにしろ。」

絞りだした答えは不本意なものだった。カルサとは対称に日向には笑顔が灯る。

それが余計にカルサの心を締め付けた。

「ありがとう。」

今日、日向からその言葉を聞くのは二回目だった。

「やったなー!日向、良かったじゃん!」

貴未は日向に近付き、子供を誉めるように頭をぐしゃぐしゃと撫でた。それをきっかけに日向は嬉しい気持ちを全面にだして喜ぶ。

無邪気な声がカルサの目を逸らさせた。

「皇子。」

すかさず千羅が反応する。カルサからため息が漏れた。

「…オレはあいつを巻き込みたくない。」

叫び声のような呟きは千羅と瑛琳の胸を強く打つ。二人は顔を合わせ、瑛琳はこの場を千羅に委ねた。

「巻き込むというのは、悪い意味だけではないと思います。」

千羅が話す。カルサは顔を上げて千羅を見た。


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