秘密〜最後の文化祭〜-2
10月末。
今日は文化祭準備日。
私は部室で現像した写真とにらめっこしていた。
「ん〜……だめだぁ〜」
私はイスの背もたれに寄りかかり天井を見た。
現像した写真はどれも良く撮れてる。
でも展示するにはイマイチで、明日から文化祭がはじまるっていうのに、未だ展示する写真は一枚も決まってなかった…
(他の皆は、今頃パネルに写真貼り付けてるんだろうなぁ…)
今年、私が所属するゼミは作品展示をした。
『子どもが作れ、子どもと遊べるおもちゃ』ってテーマで。
そっちはもう出来上がって、展示場所である講義室に置いてきたからいいんだけど…
写真!写真が決まらない!!
私は頭をかきむしり、気分転換に部室を出た。
念のためカメラも持って。
「こっち持ってて〜」
一階の渡り廊下を歩いていると、グラウンドの方から聞き覚えのある声がした。
見てみると、男女20人くらいが段ボールで何か作っていた。
その中に声の主、陸先輩がいた。
(そういえば、陸先輩とまぁ先輩は同じゼミで、今年は段ボール迷路を作るとかって言ってたっけ。
途中、子どもに英語で質問して、答えられたら段ボールが動いてゴール出来る仕掛けつきっとも聞いた気がするなぁ)
なぁんてことを考えつつ見ていた。
先輩たちは楽しそうに迷路を作っている。
段ボールをくっつけ立掛けたり、ペンキで何か書いたり、笑い声が絶えずここまで聞こえてくる。
私はカメラを構え、夢中でシャッターを切っていた―─
次の日。
文化祭1日目。
私は朝早く学校に行き、ラウンジにある自分のパネルに写真を貼った。
その下に写真の題名を書いた紙を貼り…
「出来たぁ!!」
やっと完成した。
私は他の皆のパネルを見た。
まぁ先輩は、子どもたちが公園の水場で遊んでいる写真が。
えみは、空の写真が、それぞれのパネルに貼られていた。
でも、陸先輩とリエルちゃのパネルには何も貼られていなかった。
(もうすぐ貼りに来るかな?)
私はラウンジを後にし、えみと文化祭を存分に楽しんだ