鳴神家物語(秋の場合)〜異説勇者物語!〜-3
そうこうしながら部屋にたどり着きゲームのスイッチを入れる。昨日夜中までプレイした成果であとは最後のボスを倒すだけだ。
ところが・・・。
「あれ?起動しないぞ?」
いつもならすぐにタイトル画面が出てくるのだが今日に限ってなかなか出てこない。
まさか、スーパー○ァミコンじゃあるまし今時バグるなんてことは・・・。
しかし、しばらく待ってみてもタイトルが出てくる様子はない。
「おいおいおい!頼むよ〜!俺ははやくゲームがしたいんだっつーの!」
そのとき、ふとタイトル画面が現れた。
「おっ!やったやっ・・・・・!?」
と同時に俺の体が光り始めた。
「えっ?えっ??え〜〜〜っ!?」
俺はそこで気を失った。
「んっ、うーん・・・。」
「あ、秋!気が付いたのね?いきなり倒れるからどうしたのかと思ったわよ。」
母さん?そっか、さっきのは夢で倒れた俺を母さんが介抱しててくれたのか。
「だ、大丈夫だよ母さん。」
「母さん?アンタ一体なに言ってんのよ?!あたしよ、夏香よ!」
夏香?誰だ・・・どっかで聞いたことあるけど思い出せない。
「まったく、これから魔王を倒しに行くってときに。勇者がこんなんで大丈夫なのかしら?ねぇ、春人に冬哉?」
春人?冬哉??これまた聞いたことがある名前だ。
いつだっけ・・・そう、昨日・・・・・・んっ?!
ガバッ!
「えっ?!」
勢いよく起き上がり辺りを見回す。
場所はどうやら宿の一室らしい。俺はベットの上にいて、その周りには3人の男女の姿が。
1人目は男性。鉄製の鎧を身にまとい大振りの剣を携えている。春人って呼ばれてたかな。
2人目も男性。ローマ法王みたいな法衣を身にまとい首からは十字架の首飾り。こっちは冬哉らしい。
3人目は女性。さっき俺が母さんと間違えた夏香。ちょっとセクシーな服にとんがった帽子をかぶっている。
「ま、まさか・・・・。」
またもや気が遠くになりそうになり思わずふらついてしまう。なんといってもこの3人の格好、そして名前・・・・ついさっきやってたゲームにそっくりなのだ!!!
そんな俺を見て夏香が、
「ちょっと〜!ほんと大丈夫なの?しっかりしてよね勇者様!!」
そう、どうやら俺はゲームの中の勇者になってしまったらしい。
「う、嘘だ〜!!!!」
宿屋に俺の声がこだました。