いけないあそび-6
「今の間は、オーケーってことかな?」
「ち、違う!」
手首を掴まれ、見動きが取れないままに首を横に振る。
力を入れるも掴まれた手首はびくともしない。灰田は志久野を睨み付けた。
「止めろ! ……気持ち悪い」
「どーかな。気持ち悪いなんて思ってたら、普通勃たないんじゃない?」
志久野が股間に腿を押し付けてくる。
そこが硬くなりつつあることに、灰田自身驚愕した。
しかしその事実を認めたくはない。精一杯の抵抗として怒鳴り付けてやる。
「てめーが触るからだよ!」
「へえ、敏感なんだ」
ぐ、と言葉を詰まらせる灰田。
志久野は喉の奥でくっと笑うと、灰田の身体を床に押し倒した。
そして、膝を押し付けるようにして彼の股間を刺激する。
「おい、止めろ! シクヤ!」
喉を仰け反らせながら灰田は声を荒げるが、次の瞬間その威勢は唾と共に喉の奥に飲み込まれる。
「っ!」
学ランとシャツのボタンを素早く外し、志久野は胸をさらけ出した。
しなやかな筋肉が露わになり、淫美な笑みと相まって、灰田の目を釘付けにする。
馬乗りになっている志久野は灰田を見下ろして嘲るように言う。
「どうした、さっきの威勢は? それとも、何、俺の裸に見惚れてる?」
「――退けっ!」
実際、思わず見惚れてしまった。
視線を逸らす灰田の顎を、志久野は掴んで笑う。
「男同士ってのも案外気持ちいいもんだぜ? それに俺は上手いよ。バイの先輩、俺を抱いたらもう他の女は抱けないって言ってるくらいだしさ」
他の生徒に比べて髪が長く比較的きれいな顔をしているといえるが、それなりにがたいはいい。
それこそ女のような面をした華奢な生徒は他にもいる。そのバイの先輩とやらが志久野を抱くのは、単に女の代わりというわけではないのだろう。そこに恋愛的な感情が入っているかは別としても。
「でもさ――」
志久野はその怪しい笑みを湛えたまま、灰田の股間に手を伸ばす。
「俺、灰田相手ならタチのがいいな。ぐっちゃぐちゃに犯してやりたい」
「!?」
いつの間にか灰田のベルトを外し、下着の中から、それに直に触れる。
そしてゆっくりと扱き出した。
「や、止めろ……、う!?」
予想だにしない、その快感。
キスはともかく、女性経験のない灰田にとって、他人から与えられる快楽は衝撃的でさえあった。
志久野の扱く手が早まって行く。時折緩急を付けては、灰田のものを弄った。
次第に濡れた音が立ち、灰田のものが更に硬さを増す。
「ふっ……くっ、う……っ」
唐突に志久野は扱いていたその手を止め、躊躇いなく灰田の一物を口に咥えた。
「お……いっ!」
志久野を制止する声は弱い。
もっとも、今の志久野に行為を止める術などないだろう。
彼はたっぷりと唾液を含ませた口で灰田のそれを咥え、舌で先端やら裏筋やらを舐め回した。
「う……うあ……っ」
脳天を直撃する、びりびりと電撃のような快感が背筋を駆け抜けた。
あっけなく射精させられ、灰田は無意識に絶頂の余韻を貪ろうと腰を揺らめかせる。
「早いなー……んで、エロい」
笑う志久野。
灰田はもう、敗北感と屈辱感に打ちのめされていた。それでも今は快感の方が勝っている。
萎えた一物に志久野が触れれば、灰田の身体が再び反応する。
「なあ、ヒデ」
膝立ちになった志久野は、今度は己のベルトを外し、熱く息を吐く灰田に言った。