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闇からの招待状
【フェチ/マニア 官能小説】

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闇からの招待状-1

 長い夏休みは、もうすぐ終わろうとしていた。私は都内の大学院に通う1年生。課題も夏のアルバイトも終わり、新学期を2週間後に控えていた。
 やっと自由になれた。お小遣いも少し貯まった。さて何をしようかな。思えば大学時代の友達はみな就職したり、田舎へ帰ってしまった。私は神戸の実家から離れて一人暮らし。いまの解放感をぶつけられる相手はいなかった。

 その夜、私は英語の出会い系サイトに初めて登録した。日本の出会い系には、大学時代に一度だけ登録したことがある。単なる好奇心からだった。案の定というか、サイトの男は下心丸見えだったり、援交探しのオジサンとかそんなのばかり。すぐに飽きて退会した思い出がある。
 その英語出会い系サイトを知ったのは最近のことだ。私は子どもの頃、父の仕事の都合でいろんな国に住んだ。長かったのはイギリスだ。なんとなく英語圏の人と話がしてみたくなった。といっても英語の勉強にもなるし、暇つぶしにすぎないことに変わりはなかった。

 私は早速、掲示板にメッセージを書き込んだ。
「子どもの頃、ロンドンに住んでいました。趣味はフルートとクラシック音楽です」
 翌朝、私のメールボックスにエドワードからのメールが届いていた。
「僕はロンドン在住。友達がロンドンフィルでバイオリンをやっている。いまは休暇でマレーシアにいる」
 送られてきた写メは、こざっぱりした好青年に見えた。マレーシアなら近いな、私はふと思った。
「マレーシアにはいつまで? お一人ですか?」
「今月いっぱいだ。仲間が大勢いる。ロンドンのカレッジに通ってるマレーシア人の子に誘われて、友達と来たんだ」

 

 それから数日、私はエドワードと何度もメールを交わした。その夜は、何となく胸が騒いでいた。もう寝ようと思い時計を見た。ちょうど日付が変わったところだった。どうしても気になって、またサイトのメールボックスを覗いた。やっぱり来ていた。
「今度の29日、僕の誕生日なんだ。パーティーをやるんだけど、君も暇なら来てみないか?」
 添えられてきた写真には、白人男性がもう一人と中国系っぽい小柄な女の子が写っていた。それにエドワード。この女の子がロンドンの大学生なのかな。
 マレーシアなら近いし安全だし、ビーチもあって楽しそう。行っちゃおうかな?
こんなマンションの部屋にくすぶってられないわ。えーと、Tシャツとショートパンツ何着か、それに水着があれば十分よね。明日起きたら、安いチケット探してみよっと。
 私は焦っていたのかもしれない。残された休暇中に、なんとか夏の思い出をつくりたかった。エドワードのメールもガツガツしたところがなくて、何となく安心してしまった。

 クアラルンプールは飛行機の窓からは、緑豊かな大都会に見えた。空港に降り立つと、一人の白人男性が近づいてきた。
「君がキョウコか?」
「ええ。エドワードね? 一人?」
「いや、車の中でガールフレンドが待ってる」
「写真の子? ロンドン、懐かしいなあ」
「キョウコ、マレーシアは初めてだろ? どうだろう。よかったら早速腹ごしらえでも」
 暮れなずんでいる空を一瞬見上げてから、私はうなずいた。

 乗用車の後部座席にはリンという女子大生が乗っていた。写真より小柄でおとなしく、清楚に見えた。私が助手席に乗るとエドワードはエンジンをかけた。
 エドワードはロンドン郊外にある父親の、輸入アンティーク家具や雑貨の店で仕入れを手伝っているという。東南アジアにはよく休暇で来るらしい。エドワードは写真に写っていたもう一人の男性を加えて、4人で食事をしようと言った。何の異存もなかった。
 エドワードはその青年を拾うと、海辺の郊外に向かって車を走らせた。


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