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『死をもって君に快楽を与える』
【ファンタジー 官能小説】

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『死をもって君に快楽を与えるB』-2

帰宅すると、誰もいないはずなのに家の鍵があいていた。

「…?」
お母さんはパートをしている時間なのにおかしいと思いながら、
鍵でもかけ忘れたに違いないと自己説得をする。
玄関のドアをあけ「お母さん?」と言っても返事がない。
だんだんと恐怖心があおられてくる。
心のどこかで、まさか空き巣じゃ・・・と思っていたことが、現実になろうとしている。
心臓は長距離を走った後のようにドキドキしている。冷や汗も出てくる。

なんとか勇気を振り絞って、家の中に入り、リビングのドアを開けると、
ソファーには死神が座っていた。
安堵感が一気に押し寄せてきて、その場に座り込んでしまった。

「こんにちは。」
ニコリと微笑んで、死神は私に挨拶をする。

「こんにちは。じゃなーい!」私は怒りが爆発する。
「おや?
本日は素顔でやってきたのに、何をそんなに怒ってらっしゃるのですか?」
死神は相変わらず微笑みながら、私に話しかけてくる。
「会いに来かたがおかしい!ビックリさせないでよ!」
「失敬。そんなに怒らないでください。可愛すぎて笑ってしまいます。」
私の怒りも軽くかわし、死神はクスクス笑う。
そんな態度の死神を見て、怒っているのも馬鹿馬鹿しくなってしまった。
私は気を取り直して、死神に話しかける。

「・・・それで、今日は何の用なわけ?」
「今日はおいしいコオヒィをいただきに参りました。」
コオヒィとはこの間私がつくってあげたコーヒーのことだ。
「わざわざ?」
「ええ。私の体があの味を欲しているのですよ。
あなたと同様、大変気に入ってしまいましてね。」
「ふーん。まあ、コーヒーをつくるぐらいいいけど。」
私はキッチンに向かい、コーヒーウォーマのスイッチをいれる。
「今日は冷たくしてみる?」
「そうですね。ゆっくり味わいたい気持ちでもありますが・・・。」
「わかった。」
私がキッチンの棚に入っているコーヒー豆を取り出そうとすると
ついさっきまでソファーに座っていたはずの死神が
私のかわりにコーヒー豆の袋を取った。
「ありがと。」
「いえいえ。」
死神はニコニコしながら、私の行為を見ている。
「・・・別に見るようなことでもないと思うんだけど。」
私は痺れを切らして言うと
「可愛いあなたを見ていたいのですよ。」と死神はクサイ台詞をはいた。
私の胸はまたチクッとした。


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