ジャンクション-2
しかし、この現状が夢でも幻でも覚めることが出来ないのだ。
今、どうするかを考えるしかなかった。
翔の提案を受け入れるしかなかった。
私は、翔に何度も念を押した。
家では、彩になりすまし、彩として生活すること。
その上で、ボロが出ないよう、気分が悪いと言って、すぐに寝るように約束させた。
お風呂にはちゃんと入ること、
もちろん私の体をいじらないこと、
家の間取りや、お母さんの性格、朝の行動パターン等々、
思いつくままに話していった。
そして・・・・・
ベッドの枕元の箱を絶対に開けないこと
これだけは忘れないで。
お願い。約束して。
絶対に、開けちゃいけないのな?
翔が、ニヤけた顔で答える。
やだ。あんた、開けるでしょ。
だめよ。絶対だめ。
分かったってば。
嘘よ。開けるわ。
絶対、開けちゃだめ!
おまえ、どっちなんだよ。
その箱を開けられることに比べたら、体が入れ代わったことなど小さな問題だった。
私は翔に、何度もそのことを約束させた。
私たちは、少しでも不信感を拭うため、遅くなる前にお互いの自宅に戻ることにした。
翔のお母さんに、体調が悪いと告げ、私は2階にある翔の部屋に飛び込んだ。
翔の部屋は、案の定、脱いだものが散らかされ、ベッドの下には、いやらしい本とDVDが山積みになっていた。
ベッドの上に、無造作においてあるパジャマに着替えると、私は急に不安になってき
た。翔にメールを入れる。
なにしてる?
彩のかあちゃん、相変わらず美人だな。
もっと話したかったけど、今日はやめといた。
今、彩の部屋で着替えてる。
体に触るんじゃないよ!
だけど、風呂入んだろ?
とにかく、出来るだけ触らないで!
箱、開けてないでしょうね?
ああ、電マとバイブな?
!!!!!!!!!!!!!
開けやがった!
私は、殺してやりたいくらい腹が立った。
今晩は楽しめそうだ。レポートするか?
既に、翔はやる気満々だった。
私は、携帯を壁に投げつけた。
ベッドに入っても、翔が自分の体をまさぐっているかと思うと、とても寝る気分になれなかった。
私は、昨夜のオナニーを思い出した。