はしたない女-6
カチッという音がしてドアがそっと開いたのだ。
[ あんたらしてたやろ? ]
[ してないわよ…何も… ]
なぜか私があわてて弁解した。
[ ほんまに?
ゴミ箱チェックしよか? ]
[ 本当に何もなかったわよ。 ]
私は正樹君に救いを求めたが正樹君は黙って相変わらず、ただ座っていた。
さくらちゃんの様子からして、本気で疑っているようではなかったけど…
さくらちゃんってこんな子だから案外本気で言ってたのかも知れない。
どこまでが冗談でどこが本気なのか分からないところがある。
とにかく私たちはさくらちゃんがおみやげに持って帰ってきたケーキを食べてお昼の代わりにした。
[ せっかくやから、大阪案内したったら良かったのに… ]
さくらちゃんがいうと正樹君が答えた。
[ うん、大阪城かどっか近くでも行くか?って言うたんやけど、お前の事待ってるっていうから… ]
[ 今から大阪城公園でも行く?
近いし、もうちょっとしたらアベックのアレが見れるから… ]
[ わざわざ大阪へ来てまで見るもんかいっ! ]
すかさず正樹君がツッコむ。
[ ほな…ウチらのアレでも見とく? ]
[ アレから離れんかいっ! ]
信じらんないけど、大阪の人の会話って日常から漫才なんだ。
[ 見たいっ! ]
ノリツッコミに私も思わず半分本音が出てしまう。
一瞬、場の空気が止まってしまってマズかったかと思ったが…
[ なんでやねんっ! ]
さくらちゃんが私にツッコミを入れた。
私たちは意味もなく笑っていたけど、しばらく間を置いてさくらちゃんは言い出した。