はしたない女-5
… … … …
朝になると昨夜の事が夢のようにケロッとした顔のさくらちゃんがいた。
ケーキの販売をしているというさくらちゃんは祝日でも午後になるまで仕事に行かなければならなかった。
さくらちゃんが出かけてしまうと部屋には正樹君と二人っきり…
[ どこか…出かけてみる?
大阪城とか通天閣とか… ]
[ えっ?…ううん、いいよ。
もうじきさくらちゃん帰ってくるから… ]
私の思い込みのせいか正樹君と二人で出かけるのは何だかマズい気がした。
だからって午後まで二人っきりというのも…
もしかしたら、昨日の事は夢だったんじゃないだろうか?
このベッドの上で二人が…
私と正樹君…ベッドの前で二人っきり。
さくらちゃんは早くとも午後になるまで帰ってこない…
こんなのやっぱりマズいよね。
ベッドの上で正樹君と抱き合う私とさくらちゃんが交錯してしまう。
[ 昨日眠れた? ]
[ えっ?…うん…
朝早かったから疲れちゃったし… ]
[ そりゃ良かった。 ]
[ でも… ]
私は何か言いかけて頭の中が真っ白になった。
正樹君って、どんな人なんだろ?
親切だし優しいし、さくらちゃんが選んだ人だからいい人なんだろうけど…
私がここでもし、昨日見ちゃったと言い出したりしたら…
さくらちゃん帰ってくるまで私としませんか?なんて言い出したら…
この人は私とも抱き合うだろうか?
そんなぎこちない空気の中で他愛ない会話と大阪のテレビを眺めているうちにさくらちゃんが帰ってきてしまった。