秘密〜何故〜-3
『そう、明日。
できれば昼間がいいんだけど』
「明日…は、2時までバイトで、その後なら…」
(篤也はお昼からバイトで夕方には終わるから、その間なら…)
『ルナロッサって店知ってる?』
「駅の近くの雑貨屋さんですよね?」
『そう、そこまでバイト先から何分で来れる?』
「30分…くらい…」
『じゃあ2時半にルナロッサで』
プッ、ツーツーツー…
「何!?」
何だかよくわからないまま、一方的に約束され、電話は切れた…
そして日曜日。
私は2時半少し前に、約束のお店に着いた。
先輩はまだ来てないみたい。
(自分から言っておいて居ないとは、どういうことだ!?
まさか先輩、私をからかっただけで来ないんじゃ…
)
嫌な予感がしたが、とりあえず店内を一周して、それまでに来なかったら帰ることにした。
私はヘアカラーを手に取った。
パッケージには髪を染めた女の子が嬉しそうに笑っている。
(どうしよう…
篤也は黒髪が好きだって言ってる。
でも、私が染めたいなら染めても良いって言ってるし…)
「何、染めンの?」
急に耳横で声がして、私はびっくりしてそっちを振り返った。
「陸先輩!?」
「うちの学校、髪染めてるヤツ多いじゃん?
そん中で黒髪だから、見つけやすいンだよね」
私が、ぽかぁんとしていると
「行くぞ」
さっさと店の外に向かって歩き出した。
私は慌てて、持っていたものを棚に戻し、後を追った。
(今の、どういう意味なんだろう?
暗に『染めるな』って言ってるのかな?)
私は陸先輩の隣を歩くのが恥ずかしくて、少し後ろを歩いた。
(先輩は黒髪が好きなのかな?
ってことは、少し古風な子がタイプ?
なら、こうして少し後ろを歩く子のことは、どう思うのかな…?)
私は先輩の後ろ姿を見つめた。
(って、何考えてんの私!?
別に先輩がどんな子を好きだろうと、関係ないじゃない!)
私は頭を振り、再び先輩の後ろをついて歩いた。
いつ、振り返るのかな?なんて思いながら…
先輩は急に止まった。
私もびっくりして止まった。