シークレット・ガールフレンド〜とても長い一日〜(最終章)-4
「あら、正樹ちゃん!」
振り向くと近所に住んでいる麻美の友だちの里美の母親だった。
「ああ、岡田さんですか。おはようございます。」
「おはよう。正樹ちゃんも大変ね。学校大変でしょう。あんな事が起きて。」
「え?」
「知らないの?正樹ちゃんが通ってる高校の生徒とうちの里美が通ってる小学校の
生徒がモーテルで無理心中したって。」
「ええ!?」
「ニュースでも報道されててそりゃ大変な騒ぎになってるわ。」
どういう事だ・・・?
俺はそのまま急いで学校へと向かう。校門の前には新聞記者やカメラマン、テレビ局のスタッフなどが
慌しく動いている。さらにマスコミ対応なのか教頭や生活指導の教師が登校してきた生徒に
なにやら説明をしている。俺が校門に近づくとマスコミの記者がインタビューをしようと殺到してきた。
それを教頭や生活指導の教師が制止しようとしている。
生活指導の教師は俺にこう言った。
「今日は臨時休校とします。今日だけ家に帰りなさい。」
「え?どうしてです?」
「こんなんじゃ授業にならないから帰りなさい。」
俺は言われた通り自宅に帰る。親も後でニュースを知ったらしく俺にうざったいと思うぐらいに
いろいろ聞いてきた。俺がこの生徒と同じような事をしていないか心配だったのかも知れない。
俺は自室に新聞を持ってきて記事を見た。
それによると俺の通ってる高校の男子生徒が麻美の通ってる小学校の女子生徒と共にモーテルで
睡眠薬を大量に服用して自殺したとあった。そのモーテルは俺が麻美とセックスしたモーテルだった。
俺は衝撃のあまり絶句した。
休校は3日間続いた。その間にクラスメートから電話でいろいろ聞いてみた。
男子生徒は俺のクラスにいた沢本真一という生徒だった。沢本は成績もよく、3年になったら
間違いなく国立大学の試験にも合格し、場合によっては大学からの推薦入学もありえる生徒だった。
沢本の家は両親が医者で大学病院の名医師だった。
ただ気難しいのか俺も沢本とは少ししか話していない。また沢本はイジメこそされなかったものの、
かといって親友がいるとも思えなかった。ところが沢本は今年の秋を境に学校に来なくなった。
一体何があったのかわからなかったが、女子生徒を中心に密かに恋人がいて駆け落ちをしたのではないかと噂された。
では相手の女子小学生とは・・・?それは麻美から聞くことが出来た。
実は麻美の手紙がまた投函されていたからだ。俺はその手紙を見た。
沢本と逃亡した小学生は麻美と里美のクラスメートで松村典子という生徒だった。
典子は「のりちゃん」と呼ばれていて明るい生徒だったが母子家庭で
父親は離婚していない。母親はスナックと風俗店の経営者だった。
かなりすさんだ家庭だったのは想像に難くない。
明るかったが腹を割って話せる親友はいなかった。
どうやら近くの公園で沢本と出会い、そしてセックスもしたのだろう。
卒業後麻美から聞いた話では典子はすさんだ母親から当時はまだ合法だった
児童ポルノに出演させる予定だったらしい。それもセックスのあるアダルトビデオだったそうである。
また沢本の親を典子との交際で脅して金を取ろうともしていた。
それを知った沢本と典子は金を持ち出して家出、あちこちを周ったらしい。
そして二人が最後に行き着いた先があのモーテルだったのだ。
そこで思い出した。俺は衝撃のあまり絶句した。フロントで出会ったあのカップルは
沢本と典子だったのだと・・・。
はショックのあまり熱を出してしまい、熱を出して寝込んでしまった。
体調と取り戻すと学校では全校集会が開かれて事のあらましが説明された。
その1ヶ月後、俺の学校では制服を変えることを決定、制服が詰め入りの学ランから
ブレザーに変わった。女子生徒のブレザーやスカートの色も変わった。
そんな事をしても何にもならないのだが・・・。