白雪姫=白雪=女大魔王-3
3 「大丈夫よん。熱はあるけど、ただの風邪みたいだから、ゆっくり休めば良いわん」
保険室の先生、奈佐蘭先生はそう言った。
独特の口調に独特の風貌をしてるこの先生は、生徒に慕われている。
漫画とかで良くある、フェロモン系のお姉さんではけしてない。むしろ逆だ。身長は150?にも満たないんじゃなかろうか?
「はぁ、すんません、奈佐先生」
「良いのよん。じゃ、私はこれからちょっと用事があるから、あとはよろしくねん」
そう言って、奈佐先生は出ていった。俺は白雪の寝てるベッドの横の椅子に座る。
一時間後、濡れタオルを交えたりしてるうちに、寝てしまった。
「……ん?あ、寝ちまってた……」
顔を起こすと、大分熱は下がったようで白雪が可愛い寝息をたてていた。
「……夢の中の白雪姫みたいだな」
思わず、口にしてしまった。自分の発言を恥ずかしがりながら、白雪の温くなった濡れタオルを取る。もう、昼休みだな。
タオルをカゴに突っ込み、白雪の横に戻る。
ふと、白雪の唇に目が行った。
………バレないかな?
いやいや、寝てるうちにするなんて、卑怯だ、なんか。
いや、でも、俺たち付き合ってるしなぁ……。
俺の中で漫画に良く描写される、精神内に存在する天使と悪魔が言い合いを起こした。
……で、数分後、出た答えは『バレないようにこっそり』だった。
「……起きないよな?」
慎重に、顔を近付けて行く。心臓の音がうるさい。白雪が起きそうだ。
そっと、唇に触れようとしたら、唐突に白雪が起きた。
「………!!あ、あのな!これは……」
しどろもどろとしていたら、白雪がにぃ、と笑って、俺の首に両手を回すと、キスを……してきた。
長いキスだった。
唇を離すと、少し赤面した白雪は呆然とする俺にこう言った。
「ごちそうさま、ケン王子」
き、聞いてやがったな……。
寝てる時は白雪姫なのに、起きると女大魔王に戻ってしまう。
まぁ、白雪姫な白雪も女大魔王な白雪も、白雪なんだ。
そして、俺はそんな白雪が好きだ。
そんな事を思った、月曜の午後だった。
END