胎児の遺言-6
∞∞∞
もやもやした気持ちのまま、2日後再び検査キットを買い、同じ要領で検査をした。
2度目とあって、検査に手慣れている自分が、すでに汚れてしまっているようで惨めだった。
バイトはしてたけど、学生の私にしてみたら、検査キット代だってバカにはならない。
もうこれきりで決めたかった。
今度は時間を置かずに、あっけなく結果が出た。
2度目の検査結果は予想通りの―――陽性。
今回は見事にくっきりと、陽性の枠内に縦の青ラインが出ていた。
『ふぅ…妊娠確定か…』
前回の、白黒付かない検査結果から今日まで、3日間の猶予があったので、私には幾分覚悟が出来ていた。
だから比較的冷静に、この現実を受けとめることが出来た。
涙も出ないし…
取り乱しもしない…
もちろん、何かの間違いだったらいいに決まってるけど、まずそれはないって、即座にはかない希望すら打ち消した。
陽性反応が出たキットを持ち、再び花梨の家へ…
今度はゆっくりと歩いていった。
急いだところで、妊娠がくつがえる訳ではない。
そんな諦めの気持ちが、私の足取りを一層重たいものにした。