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胎児の遺言
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胎児の遺言-1

私は今から子供を堕ろしに行く。

足取りは決して軽くないけど、特別重くもない。

今日まで私の身に起きた色々なことを考えれば、やっとこれですべてが終わるんだという達成感すらある。

妊娠がわかってからの数週間、自分の身体でありながら他人の身体を借りてるみたいな、居心地の悪い日々だった。

それは産むつもりのない子を自分の身体に宿して(育てて)いる罪悪感とか、嫌悪感とか、恐怖感とか、不安感とか、そんなのすべてをひっくるめた気持ちが私の中に渦巻いていたから。

自分の身体の中に、自分の意志に反し、自分とは違う別の生命がいる、そう考えるだけで気持ち悪いし怖かった。

しかもその生命は間違いなく、私の遺伝子を半分受け継いでいる者。

それは17才の私には、にわかに信じられないことだったし、信じたくもなかった。

自分が妊娠する可能性があることはもちろん知っていた。

でもまさかほんとに妊娠するとは、夢にも思っていなかった。

だから実際に妊娠してしまった今ですら、実感は湧かない。

妊娠3ヵ月じゃお腹はまだぺたんこだし、不幸中の幸いで悪阻(つわり)もない。

それでも私は間違いなく、今自分のお腹の中に小さな命を宿している。

でも、この小さな命とも今日でお別れ。

だって私は今から、この子供を堕ろしに行くのだから。





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