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近距離恋愛
【学園物 官能小説】

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近距離恋愛−vol.2-1

「ねえ…どうするべき?」
私こと、増田藍(ますだあい)は悩んでいた。
「とりあえず、勇君のこと決着つけなきゃ。」
「それは、わかってるんだけど。」
私は、親友の北川沙織(きたがわさおり)に話を聞いてもらっていた。
沙織は、男女問わず人気がある。
スタイル抜群、顔も可愛い、なのに屈託の無い笑顔で誰とでも話せるからだ。
「後は……行動あるのみ!」
「へ?」
間抜けな声を出した私の腕を、沙織はグッと掴んで、学食を飛び出した。
「ちょ、ちょっと待って!」
沙織の引っ張る力を制して、私は息を整えた。
「行動って、何?」
沙織は渋々、私の腕を掴んでいる手を話して、ゆっくり話始めた。
「だから、あんたはどうしたいの?」
「そりゃ……先輩と……。」
漫画の様に、わざとらしくため息をつきながら、沙織は続ける。
「じゃあ、勇君と別れるしかないでしょ?」
「……でも。」
「でも、何?!」
「とりあえず、話を最後まで聞いてもらえる?」

そう言って、私達は中庭にあるベンチに座った。
沙織の唯一の短所は、途中までしか話を聞かず、思い立ったら即行動!な所かもしれない。
「だから……ね。」
今にも、『んも〜じれったい!』と叫び出しそうな、すごい剣幕で沙織は私を見る。
「だから、何?!」
「勇と、別れ話……したんだってば。」
「へ?!」
それは予想外だって!という顔で沙織は、眉間に寄せていた皺を伸ばした。

「じゃあ、何を悩んでる訳?」
私は少し間を置いてから話した。
少し間を置いたのは、運動不足なのに、急に走らせて、息を上げさせた罰!
「勇に別れ話したんだけど……、なんか揉めちゃって。」
「ちょっと、ゴメン。」
いきなり話を止められて、少し驚いた目で沙織を見た。
「話、長くなるでしょ?喫煙所いい?」
「あー、おっけ。」
そういう事か。
沙織は意外とヘビースモーカーで、そのくせ普段は香水の良い匂いを、フワッとさせちゃってたりなんかする。
沙織と、両親のおかげで、私は煙草の臭いや煙にそこまで苦手意識は無かった。

とは言っても、狭い個室で、一服しながら……というのは、非喫煙者の私にとって、ちょっと刻な訳で。
ベンチの横に灰皿がついていて、開放されているテラスへ向かった。
「ふぅ〜。充電、充電。さ、続けて。」
煙草に火をつけて、長い煙を吐いた後、沙織は言った。
「だから〜、」
私はそう言って、
勇と別れ話をしたが、泣いて縋られた事。
それから、何故か私と先輩が寝た事を勇が知っており、浮気はお互いだから、許し合おうと話されたこと。
それらを、沙織の煙草が3本目に差し掛かる頃、やっと話し終えた。


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