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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜
【鬼畜 官能小説】

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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜-6

 お饅頭類だけでは先細りになりはしないかと考えて、妻の反対を押し切って醤油煎餅を作ってみたのでございます。しかしお客さまのお口に合わなかったようでして・・。いえいえ、きっと買ってくださるはずでした。ある夕暮れどき、初めて売れましてございます。思わず小躍りしてしまうほどでした。
「あなたには負けたわ。それじゃその、新しく作られたお煎餅を頂こうかしら。」
 妻の押し付けがましさは我慢なりませんです、はい。きっと売れるはずなのでございます。それが証拠に
「美味しかったわよ、又頂くわ。」と仰って頂けるお客さまが、日に日に増えているのでございますから。
「奥さんの太鼓判ですもの、美味しいはずよね。」などと、お客さまにおべっかを遣わせるとは、まったく不届き千万でございます。それにしても厭味な妻でございます。今日も今日とて、これみよがしに大声を張り上げているのでございますから。

 娘は、妻に手をあげた私が許せなかったようで、敵意にも似た感情を持ったようでございます。やりきれない日々が続きました。次第にお店での時間が長くなり、食事も外で済ませるようになりました。“離縁”ということも頭を過よぎりましたが、娘の通う私立高校のことを考えるとそれもできませんでした。・・・いや、本当の事を申し上げます。 
 世間体を気にしてのことでございます。私どものような和菓子屋は、家庭内のゴタゴタが外に漏れますと、たちまち売り上げに響くのでございます。考えてもみてください。ゴタゴタを抱えた職人の作る和菓子が美味しいはずがございません。実際、
「ご主人がお店番?以前より、味が落ちたんじゃないの。」等と嫌みを言われたこともございます。

 一年近く続きましたでしょうか、そのような地獄の毎日が。妻でございますか?今は店の手伝いもしておりません。さぁ、一日をどのように過ごしていたのか・・・。又、嘘をついてしまいました。実は、寝込んでおりますです。もうかれこれ、ふた月になりますでしょうか。いえいえ、私との諍い事が因ではありません。心労からではございますが、以前から、時々寝込むことがございました。唯、今回は少し状態が悪かったようではございます。


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