恋人に捧げる舞子の物語(煌星編)(その1)-2
…どうです…ボクのものに驚きましたか…あなたが憧れるペ○スですよ…
あの男が薄笑いを浮かべながら、あなたの鼻先にぶらりと突きつけた蛇のようなペ○ス…亀頭の
色素は赤紫色に変色し、肉縁は深くえぐれ、静脈が不気味に浮き上がった包皮は、毒蛾の鱗粉の
ように奇妙な斑模様に刻まれていた。
そして、あの噎せるような肉片のすえた臭いが鼻腔に甦ってきたとき、あなたは激しい吐き気に
襲われた。
ふらついたあなたは、外灯に寄りかかるようにして咽喉の奥に注ぎ込まれた男の精液を地面に
激しく嘔吐した。頭を深く垂れたあなたの首筋に絡みついた髪の毛に、嘔吐した粘液がべっとり
と付着する。
胃液とともに腐ったような臭いのする分泌液が、激しい嗚咽とともに次々と唇から滴る。眩暈と
ともに毒々しいほどの淫靡な余韻が体中に澱み続けていた。
そしてあの男は膣鏡で眺め尽くしたあなたの性器を、黒い貞操帯で封印した。それは金属と厚い
ラバーで作られ、ステンレスの鋲が表面に施された強固なものだった。
あなたのその貞操帯は、あの男によって鍵を掛けられた…。
そう…あなたは、あの男の奴隷となることを誓ったのだ。
それは、突然あなたに届いた一通のメールから始まった…。
週末の夜も更け始めた頃、あなたはネットの投稿小説を書き綴っていたキーを打つ指を止め、
パソコンの蓋を閉じる。あなたは体の奥に微かな湿り気と火照りを感じたのか、ガウンを
脱ぐとベージュのスリップ姿のまま、マンションのバルコニーに出る。
深まる秋の気配を伝えるような冷たい夜風が肌に心地よく漂ってくる。
闇に包まれた寂寞とした街に、覆い被さるように煌めく星が夜空に散りばめられていた。
すべてのものが深い眠りについている深夜に、あなたは空想にふけりながらネットの投稿小説を
綴るのがいつの間にか密かな楽しみとなっていた。
こんな星空をながめるのは何年ぶりかしら…
あなたは、別れた恋人に背後から包み込まれるように抱かれるのが好きだった。その背中を彼の
胸にゆだねながら、この夜空を何度となく眺めたはずなのに、その星の煌めきの美しささえ
なぜか記憶になかった。
ただ、あのとき頬に感じた彼の吐く息や耳朶をなぞる唇、乳房に触れる指の感触だけが、どこか
儚げにあなたの中に甦ってくる。
…あなたの投稿小説を拝見しました…ぜひ、一度お会いできませんか…
あなたに送られてきたメールには、童顔の若い男の写真が添付してあった。細い鼻筋とこぼれる
ような白い歯がどこか清潔感と甘い香りさえ漂わせる優しい笑顔だった。
あなたは何となく何度か彼にメールを返す。彼が専門学校生で二十歳であること…そして、SM
に最近興味を抱きはじめたことを知った。