遊戯〜姉妹姦獄-1
『あ〜クソ、胸糞悪い……』
蒸し暑い真夏の昼下がり、古びたアパートの一室で男は酒を飲んでいた。
襟首の伸びたTシャツ、あちこちがほつれたジャージを履き、ゴミの散らかる部屋の真ん中に胡座をかき、少し温んだ発泡酒を飲み干した。
『年下が俺に指図すんなっつーの、ボケ!』
胡座の上に置いたグラビア集を眺めながら、一人愚痴た。
もう何度目の失業か……
(今度こそは真面目に……)
そう思いながらも、貯金がある程度貯まり、数ヶ月もすれば怠け癖が顔を出し、身勝手な理由を付けては退職していた。
今回の理由は、年下の上司に叱られたから。男は地に足の着かぬ生活を繰り返すうちに、既に40代も中を過ぎていた。
もはや上司が年下など、当たり前のようなものなのだが……。
『……にしても…この娘は可愛いな……』
そこには10代の少女達が、制服やスクール水着を纏い、輝くような笑顔を浮かべていた。
真っ当な人生を送っていたなら、それ位の年齢の娘がいてもおかしくは無い。
『へ…へへ……』
親子程も年齢の離れた少女達を眺め、男は自慰を始めた……お世辞にも容姿に恵まれていない男、交際経験は無かった……小学時代、初恋の女性に告白し、それをクラスメートと、その女性に笑い者にされて以来、正常な恋愛観は育たなかった。
女性と恋愛に対する嫌悪感……あるのは、成長と共に頭をもたげた性欲。
いつしか、男の欲望のはけ口は、成人女性ではなく、幼い少女へと向けられていた。
『こいつ……あの女に似てるな……ムカつく顔だ……』
グラビア集の中に、あの初恋女性に似た少女が載っていた……
中村麻紗美・16才
栗毛色のショートカットのヘアスタイル・クリクリと大きな瞳・薄い桃色の唇……男の顔に、変質的な笑みが浮かんだ。
『ふひ……あ…麻紗美……出す…出すぞぉ!このぉ!!』
血走った瞳で少女を睨み付け、恍惚の表情で果てた。
『ざ…ザマミロ……ヒヒヒ……』
酔いも手伝ってか、男は暴言を吐き、楽しげに鼻歌を歌いながら雑誌をめくった。
その雑誌の中程に、イベント情報を見つけ、その女性の欄を、見るとはなく見遣った。
『……姉妹で握手会?写真集発売……』
ファースト写真集発売のイベントで、握手会が催される。
この娘の存在を知るのも初めてであったが、妹もいるとは……男はグラビア集を必死にめくった。
『コレだなぁ?』
姉・麻紗美に負けぬ美少女、里奈のグラビアを見つけ、食い入るように見つめる。
姉と同じく栗毛色の髪、クリクリとした瞳、薄い桃色の唇……更に幼顔の、セミロングのヘアスタイルの美少女が、紺色のスクール水着を着て微笑んでいた。
『14才……中二か?』
胸も尻もまだ小さく、その顔立ちもあってか小学生にも見える。
『……………』
じっと……じっと男は姉妹を見つめていた。イベントは、都内某レコード店で二週間後の土曜日。
もとより予定など無い。
男はイベント局にチケット予約電話をいれた。
『こいつら隣県に住んでんのか……』
男の顔が、ニヤリと崩れた……。