メルファ・人形残酷(?)物語4-8
…悪い事は言わん!
あの人形だけは、メル ファだけはやめた方が イイ! 苦労するよ! …
こう言った周りの強い反対を押し切ってメルファの養育を引き受け、今日まで何不自由ない生活をさせて来た。
常識的に言えば、感謝すべきなのにずっと、マルシアを見下し最後は殺してしまった。
メルファの思考が全く理解出来ない。
そんなジャックの疑問にルーシーが答える。
「メルファの辞書に、感謝と言う言葉はないのよ。自分を中心に世界が回ってると思っているぐらい自己中心的で…
前に私が言っていたように、プライド高いし」
「マルシア夫人に、とんでもないワガママ人形の世話を引き受けてもらったもんじゃのう」
ボックル会長はマルシアにメルファを巡り合わせた事を今になって後悔した。
今から3年前、人形協会ではメルファの引き取り手を募集していた。
なかなか、引き取り手が見つからない時に事情知ったマルシア夫人が快く引き受けくれたのだ。
だが結果的に…
マルシア・クルーのボランティア精神は仇となってしまったようだ。
「メルファのヤツ」
歯がゆい思いでメルファを見つめるジャック。
「しかし、メルファも大したもんじゃ」
「え?」
ボックル会長にジャックたちが注目した。
「自分の正当性を最後まで貫き通すんじゃからのう。証拠の映像を見せられても、全く動じずにいるし…大した根性じゃわい」
「それぐらいの気持ちを、他の良い方に表してくれたら素晴らしいんですけどネェ」とスザンヌ。
メルファがエリザベスに何か言っている。
「エリザベス…オ姉様、ココニ集マッテイル、愚カ者タチニ、何カ言ッテ下サル? 可愛イ妹ハ、無実ダ。何モ悪イ事ハ、シテイナイッテ事ヲ」
「…」
エリザベスは一瞬だけ、メルファの方を振り向いたが…
後は正面向いて無視を決め込んだ。
「オ姉様ナラ、私ヲ信ジテクレルワヨネェ」
「…」
エリザベスは完全無視を決め込んでいる。
「私ハ、オ姉様ヲ、愛シテイルワ」
この時…
「エリザベス様、証人席にお着き下さい」
裁判長に促されるようにして、エリザベスは一礼した後…
空いている証人席に座った。